社説 突然の首相退陣、政局混迷を憂慮する(9/13)日経ネット
安倍晋三首相が突然、退陣を表明した。臨時国会で所信表明演説を行い、代表質問に入る直前の退陣表明は極めて異様である。7月の参院選で惨敗しても続投を決断した首相は政権・国会運営の厳しさを十分に覚悟していたはずだが、首相の体力・気力はすでに限界に達していたのだろう。突然の退陣表明は無責任な政権投げ出しと言われても仕方ない。国会は当面、休会状態になり、インド洋における海上自衛隊の給油継続問題も宙に浮く形となった。政局の混迷を深く憂慮せざるをえない。
無責任な政権投げ出し
安倍首相は記者会見で退陣の理由について、海自の給油継続問題を打開するため小沢一郎民主党代表に党首会談を申し入れたが断られ、テロとの戦いを継続するには自分が辞めることによって局面打開を図った方がよいと判断した、と説明した。しかし、この説明に説得力はない。
政府与党内では、テロ対策特措法の延長問題について海自の給油継続に絞った新法を国会に提出し、民主党の理解が得られない場合は参院で否決されても衆院の3分の2の多数で再議決する方向が有力になっていた。安倍首相に強い気持ちがあれば、こうした方法で一時中断はあっても国際公約である海自の給油継続は可能だったはずである。
与謝野馨官房長官は首相退陣について「首相は仕事と健康の両立について深い苦悩の中にあった。(8月下旬の)アジア訪問から健康状態は大変厳しいものがあった」と語り、健康状態が退陣の一因であることを明らかにした。最近、安倍首相に会った人は首相に精彩がなく、健康状態がよくないのではないかとの印象を持つ人が多かったのは間違いない。健康状態の悪化ならやむをえないが、結果としては最悪のタイミングでの退陣となった。
[こんにちは、安倍晋三です]
● 改革、テロとの闘いを前に進めるために
こんにちは、安倍晋三です。
内閣総理大臣の職を辞することを決意いたしました。
7月29日の参議院選挙の結果は、大変厳しいものでしたが、改革を止めてはいけない、戦後レジームからの脱却の方向性を変えてはならない、との思いから続投の決意をし、これまで全力で取り組んできました。
また、先般のAPEC首脳会議が開催されたシドニーにおいて、テロとの
闘い、国際社会から期待されている、高い評価をされている活動を中断する
ことがあってはならない、なんとしても継続していかなければならない、と
申し上げました。
国際社会への貢献、これは私の「主張する外交」の中核であります。この
政策は、なんとしてもやり遂げていく責任が私にはある。こうした思いで、
活動を中断しないために全力を尽くしていく、職を賭していくと申しました。
テロとの闘いを継続するためには、あらゆる努力をする。環境づくりにつ
いても努力しなければならない。一身をなげうつ覚悟で、全力で努力すべき
と考えてまいりました。
そのために、私は何をすべきか。
局面を転換しなければならない。これが私に課せられた責任であると考え
ました。
改革を進めていく、その決意で続投し、内閣改造を行ったわけですが、今
の状況で、国民の支持、信頼の上で、力強く政策を前に進めていくのは困難
である。ここは、けじめをつけることによって、局面を打開しなければなら
ない。そう判断するにいたりました。
新たな総理のもとでテロとの闘いを継続していく。それを目指すべきでは
ないだろうか。今月末の国連総会へも、新しい総理が行くことがむしろ局面
を変えていくためにはよいのではないか、と考えました。
決断が先に延びることで困難が大きくなる、決断はなるべく早く行わなけ
ればならない、と判断いたしました。
無責任と言われるかもしれません。しかし、国家のため、国民のみなさん
のためには、私は、今、身を引くことが最善だと判断しました。
約1年間、メルマガの読者のみなさん、国民のみなさん、ありがとうござ
いました。
この間にいただいた、みなさんの忌憚のないご意見、心温まる激励を、私
は決して忘れません。
私は官邸を去りますが、改革、そしてテロとの闘いは続きます。これから
も、みなさんのご支援をお願いします。(晋)
「首相官邸メールマガジン」
●田原総一朗:なぜ国会を投げ出したのか、安倍首相辞任の舞台裏

2007年9月12日
9月12日、所信表明の2日後に安倍首相が辞任を表明した。
この辞任は、大きく言うと、「自分の運の悪さに愛想が尽きた」のだと思う。
追い詰められた安倍首相
自民党が参議院選挙に惨敗した理由の一つに、社会保険庁の年金の記録が滅茶苦茶であるという問題があるが、この年金記録の問題は安倍さんのせいではない。これは小泉内閣で露呈してもおかしくはない問題だった。もし露呈していたら小泉内閣は大変なことになっていただろう。
また、伊吹文明文部科学大臣、佐田玄一郎行政改革担当大臣、松岡利勝・元農林水産大臣、赤城徳彦・元農林水産大臣、など次々と明らかになる「政治と金」の問題も、今に始まったことではない。前からずっとやっていたことだ。
いずれにしても安倍さん自身の責任ではない。ただ、安倍内閣で問題が露呈したことで、安倍さんは「任命責任」とか「管理能力がない」と言われてしまった。
この「運の悪さ」が今回の辞任に結びついているところがあると思う。
辞任の理由に健康上の問題もあげられているが、それは「心身ともに非常に極限までいっていた」ということで、以前からの持病のある胃腸の問題などでないと思う。所信表明のわずか2日後に辞めた背景には、やはり相当な覚悟をもって申し込んだ会談を小沢・民主党代表に拒絶されたことが大きいだろう。
●立花隆:政界を大混乱に巻き込んだ安倍首相電撃辞任の真相

2007年9月13日
安倍首相が辞任した本当の理由
結局、安倍首相はなぜやめたのか。
「遺産相続で3億円の脱税」報道
はじめ永田町に流れた情報は、「週刊文春」が安倍首相の一大スキャンダルを出す予定になっているということだった。早速、「週刊文春」に問い合わせると、「それはウチではないです。『週刊現代』らしいです」ということだった。
毎日新聞の夕刊が小さな記事で報道したことであるが、安倍首相自身が、これが噴出したら命取りという一大政治資金スキャンダルをかかえていたというのである。
それは、父の安倍晋太郎氏から首相への資産相続の際に、晋太郎氏が資産を自らの政治団体に寄付する形にすることで、首相は相続税をまぬがれていたという「脱税」疑惑なのである。週刊現代の記事では脱税額は3億円にものぼるという。
安倍内閣は第1次、第2次とも、成立当初から政治資金の問題に悩まされてきた。しかしそれはいずれも、佐田玄一郎行革担当相の政治資金問題、松岡利勝農水相の「ナントカ還元水」問題、赤城徳彦農相の事務所費問題など、有名な諸事件をとっても、金額的にはそれほど大きな問題ではない(億単位の金額ではない)。これが本当ならば、それに比較して、この遺産相続問題はケタちがいに金額が大きい。
突然の辞任会見の引き金になったもの
安倍晋太郎氏が亡くなったのは、91年のことであるから、いま現在脱税で訴追されるかどうかという話ではないが、このようなことは、世の常識の問題として、政治資金の問題にとりわけ厳しくあたってきた内閣の長として、ヤミからヤミに葬ってあとは知らんぷりできるという話ではない。
これが事実ならば、過去の話ではあっても、これは政治的にはいま現在でもホット情報として扱われるべきアクチュアルな話である。安倍首相には道義的に説明責任がある話だ。安倍首相の在任中にこんな話がオモテに出たら、安倍内閣はそれだけでふっ飛ぶこと確実なスキャンダルだったといってよい。
この話を、「週刊現代」が取材して、今週末土曜日発売予定の号に載せるはずになっていた。
そのために、「週刊現代」は安倍事務所に真偽確認と、その理由釈明の問い合わせの書筒を送り、返答の期限を昨日の午後2時に設定していたと伝えられる。
その午後2時になったら、安倍首相の突然の記者会見が開かれ、政界関係者全員が唖然として見守る中で、突然の辞意表明が行われたわけである。
[NIKEI NET]
たいへんな事になりました。「脱税」疑惑・週刊現代の記事、脱税額は3億円は、今後、どう出て行くでしょうか???????
しかし、今回は、安倍総理を主体とする、戦後レジームからの脱却という、族議員のたまり場・特別会計にたいする構造改革と公務員の天下りを廃止する内閣に対する、政治と金の問題・・族議員??? 政界??? 官僚??? マスコミ??? 野党??? らによる、改革内閣の閣僚たちの引きずり下ろし、密告・リーク、情報操作の世界、こんなに多くの人、大臣たち、総理大臣までがやめさせられてしまうなど、現在の日本の国家の体質がよく浮き彫りにでた、国民なんか不在の、自分の権益だけにしがみつくやからによって行なわれた、とてもおそろしく、なさけなく、かなしい事件でした。
現象の裏には、必ず、本質がある。
目を逸らさず見つめることも必要です。
