永田哲也のご祝儀袋
人生で一回(例外もあるが)の結婚式。特に親しい人だと心から喜ばしい。ご祝儀袋を選ぶ時、相手のイメージと送り手の自分に合うものをと思うが、手紙と同じようになかなかこれというものが見つからず、妥協で終わってしまうことを悔やんだ事が多々ある。
そんな話をしていると、Cさんから「前に見かけたご祝儀袋がかわいかったよ。鯛の柄が押してあって、シンプルなんだけど素敵」とすすめてもらったが、教えられた店に行くと既に取り扱いは終わっていた。以来気になって探していた。それを今日見つけたのだ。ネット社会の恩恵を感じるのはこういう探し物を簡単に見つけてくれるところにあるのかもしれない。
作者は永田哲也さんというらしい。
和菓子の木型を和紙に押して作られている。おめでたい気分が盛り上がるようなご祝儀袋。誰につかおうかとばかり想像してはあの人とあの人に・・・なんて考えているが、デリケートな問題なので誰にもいえそうにない。
ご祝儀袋はネットで検索すれば買えるみたいです。福岡市内での取り扱い店は、探しているけどなかなか出会いません。ご利用はおはやめに。
鹿児島の味
鹿児島に行くことがあればDWELLとごん兵衛に行きたい。そう思うきっかけは岡本仁さんのブログだった。そこからするすると糸をたぐると、あれやこれや面白いものに出会う。集まっていくものなのだろう。ひとつの糸の端を見つけさえすれば、あとはたぐることをやめなければ、必然的に出会いは訪れる。人の縁もそうなんだと最近しみじみと思っている。
そんな縁を介してやっと鹿児島に行けた。全て書きたいが今回の日記は食日記にしようと思う。
霧島アートの森やその他短い時間に詰め込み回った夜、念願のごん兵衛に向かった。鹿児島といえば黒豚なのだが、ここの湯豆腐が食べたかったのだ。後で知ったことに大正7年から続く老舗の湯豆腐専門店なんだそう。暖簾をくぐり、ガラガラと引き戸を開ける。こじんまりした店内はカウンターのみで、席につくとつきだしに塩茹での落花生が出された。茹でて柔らかくなった甘い落花生に滲みた塩味にに手が止まらない。ガスコンロが目の前に用意され、鍋が火にかけられる。
「しいたけはもうちょっと。それ以外はもう食べれます」
鍋を覗き込むと、豆腐以外にぎんなん、筍、おくら、きくらげ、ねぎ、豆もやし、えのき、長いも、帆立貝柱、椎茸、春菊、うずらの卵、・・・13種類の具が昆布出汁に踊ってる。橙酢の利いた醤油に海苔と青ねぎがたっぷり入ったタレ、これが合う。好みで柚子こしょうを入れるとまた違った味が美味しい。実は湯豆腐の前に串ものともずくを食べていたのだが、どれもことごとく美味しい。かなりおなかいっぱいになったのに、まだ食べたいと思ったくらいだ。
今回はあまりお店の人と話したりしない旅だったのが心残り。きっと話すと色んなことを教えてもらえたのに。特にごん兵衛の女将さんらしい女性がなんだか気持ちのいい人で、次回はいろいろと話してみたいなと思った。
ところで、DWELLで貰ったJuddという素敵なフリーペーパーにレモンケーキの記事を見つけた。方向感覚はけして悪い方じゃないと思うが、それ以上に頼れる相手がいるとすんなり見つかる。信号を渡ったところにそのレモンケーキを作っているお店はあった。昭和から変わらない佇まいで懐かしさすら感じるそのお店のガラスケースの中に、季節の和菓子やカステラ、フルーツケーキが並ぶ。その右手に手のひらに乗るくらいの大きさで、薄いレモン色の紙にひとつひとつ包まれたコロンとしたレモンケーキが箱いっぱいに並べてあった。
鹿児島行きを決めたとき、岡本さんを紹介していただいた大橋のTさんにもどこかいいとろこはありませんかと尋ねていた。そのお礼と、自分用に買いたくて向かったのだ。帰る予定の日、大名のROOMSにてプリペアード・ピアノのハウシュカのライブがあったのだ。Tさんは「聴いたほうがいい」と言っていた。鹿児島を満喫するなら、帰りは遅くなる。悩んだが二度と見れないかもしれない機会を逃すのは惜しいと思ったのだ。実際その演奏はすばらしかった。鮮烈な印象を植え付けられた。必然の偶然といえば言葉遊びみたいだが、この時ばかりはまさしくと思うくらいだった。
家に帰り、レモン色の薄い紙をはがす。ほんのり黄色いホワイトチョコレートにくるまれたカステラ生地。真ん中にラムレーズンがふたつ入っている。充実した二日間だった。懐かしい味のレモンケーキを珈琲でいただきながら終わった旅。つきあってくれたTに感謝。
以下今回巡ったところの覚書。
*DWELL playmountain 鹿児島県鹿児島市住吉町7-1
*OWL 鹿児島市東千石町14-16-2F
*湯豆腐 ごん兵衛 鹿児島市東千石町8-12
*Treduno 鹿児島市東千石町3-32 2F
*以志川菓子店 鹿児島市西千石町
*Act Luv white apartment 鹿児島市東千石町3-26 三幸ビル105
*霧島アートの森 鹿児島県姶良郡湧水町木場6340番地220
フリーペーパーといえば、アートフォーオールが創刊されている。
是非手にしたいのだが、福岡のビームスにあれば・・・無ければ、兄に頼もう。
下関のライブハウス
またまた9月の話題。最近気になっているライブスポットがふたつとも北九州近辺にある。ひとつは門司駅の前にあるBRICK HALLといって大正期に建てられた赤煉瓦建物(旧サッポロビール九州工業建物)の一角にある空間。最近門司に移り住んだ音楽やアート好きのMちゃんが絶賛していて気になっていたところで、「羊毛とおはな」が来た時に連れて行ってもらった。高い天井に煉瓦つくりの空間なのに、寒々しさを感じない。音の響きもやらわかいのに澄んでいる。海からあがってくる潮風と星空の下、赤煉瓦を照らす街灯に壁から漏れる音。一回しか行ったことがない私も後々「あそこはいい」と人に勧めている。そしてもうひとつが下関にあるJazz Club BILLIE。福岡に来なくても、ここにはくるミュージシャンがいる。別の音楽好きのNちゃんもこの場所を絶賛していた。一体どんな空間だろうと思っていた頃indigo jam unitがくるという。熊本のN嬢と小倉のTさんも行くというので3人で向かった。車で向かうと、本当にこんなところにあるのかと思うような明るいカフェやガーデンウェディング向けの施設がある。とりあえずN嬢とTさんについていくと、並びにBILLIEと書かれた扉があった。扉を開けるとスーツを着こなしハスキーな声がかっこいい女性が迎えてくれた。店長のSさんだ。しばらく立ち話をして席に着くと思った以上にゆとりのある空間で、色温度の低い照明と基調となっている黒が落ち着いた空間を際立たせてていた。薄明かりに浮かぶグランドピアノと並ぶ楽器が、期待感を一層あおる。indigo jam unitの4人がそれぞれの場所に着き、音が響きだす。「Jazz好きによるJazz好きのための空間」という言葉をここに来る前に何度も聞かされたことを思い出した。BRICK HALLもBILLIEも、音が好きな人たちが集い場所になる。そんな空間が心地よくないはずが無い。
ところでしみーが11月の帰国ついでに一人旅しに行きたいと言ってたとTくんに話した。すると「口だけだよ。あいつこの間も来るって言ってたけど結局岡山の温泉宿に一人で泊まってるって電話してきてさー」と笑っていた。83年生まれの自由さ(良く言えば)を感じずにはいられない。
*BRICK HALL 福岡県北九州市門司区大里本町3丁目6-1
*Jazz Club BILLIE 山口県下関市一の宮本町2丁目2-22
*indigo jam unit ピアノ、ベース、ツインパーカッションのジャズバンド。鳥肌ものの演奏です。
角島にて
5月のゴールデンウィークを意識して、9月の連休をシルバーウィークというらしい。連休中の渋滞に紛れて角島に行ってきた。連休だからどこかに行くというより、小学生の頃からの友人との休みが合う日がたまたま連休中だったのだ。あいにくの天気で、空は厚い雨雲に覆われ、たまに雨が降っていた。青い海にまっすぐ走る橋、のイメージは、暗い雲に車の列にすりかわりそうになる。橋を渡るだけで1時間近くかかったような気がする。それでも、角島の浜辺に着いたときその海は美しかった。泳ぐには適切ではない季節だったが、海にもぐる子供たちがほほえましい。そこにない青い空を恋しく思いながらも、波音と子供たちの声を遠くに聞きながら心地よい時間を過ごせた。帰りがけ、知人の家に寄る前に川棚で瓦蕎麦を食べた。昭和を感じさせるいでたちの母屋と、その真下にある食事どころ、そして道向かいにある新しい別館と、席数も十分だろうにそれでも並ぶかなりの人気ぶり。観光客相手にしても、これだけの人が並ぶというのは期待してしまう。熱く焼かれた瓦の上に茶蕎麦と牛肉や野菜がたっぷり乗った名物瓦蕎麦と頼んだのはひつまぶし。カリカリになった茶蕎麦も美味しかったが、個人的にはお櫃に入ってきたひつまぶし(急須に用意されただし汁でお茶漬けにもできる)に満足した。その後最近子供が生まれた友人宅に遊びに行き、「ムース」と「ショコラ」という鳥と遊ぶ。そして帰宅。想像していた光景には出会えなかったが、なかなかの休日だった。連休中に行く場所ではなかったという笑い話もできた。次はどこへ行こうかと今からわくわくしている。
*角島 土日・連休は避けた方が賢明です
*元祖瓦そば たかせ 山口県下関市豊浦町大字川棚5437
メニューを見て福岡市内に支店があることを知り少し寂しい気分になりましたが、あの感覚はなんででしょうね。
エクレア
花の名前を知っている人を羨ましいと思う。でも花の世界には新しい名前が次々に生まれているらしい。調べるだけでも大変そうだと思って食傷気味になるが、縁のある花くらいの名前は覚えておきたいものだ。先日、“エクレール”という名前のバラをもらった。以前“ショコラ”という名前の、茜を帯びた薄茶色の大人びた色合いのバラを1本もらった人から。大学時代の友人の、部屋がどんなに散らかっていても花だけは欠かさず飾る、という姿勢に感化されている私には何よりも嬉しい贈り物。欠かさないという事はないにしても、植物がある暮らしはなんだか背筋が伸びる思いがするのだ。ささやかな贈り物として植物を選ぶ事も増えた。ブーケにしてもアレンジメントにしても、あの人に似合う花、色、形、ボリュームをあれこれ想像しながら、花屋さんと話しつつ作ってもらう。そんな気持ちを込めれるところも好ましい。ところでこの“エクレール”の名前の由来はどこにあるんだろうと気になった。フランス語で“エクレア”は“雷”という意味なのだ。この花も雷のイメージなのだろうか。緑色のコロンとした花は“雷”というにはかわいらしすぎる。 なかなかないと思うが、機会があれば由来を聞いてみたい。そう思っている限り、この花の名は忘れられない。
Time is....
時間とは一体何者なのか。という問いは誰と話しても面白いように思う。60という数字の枠組の中で動かざるを得ないが、それでもひとりひとり、感じ方が違うものだ。新聞を見ていると、日本時間学会が設立されたという。大昔の誰かが作った枠組をああでもない、こうでもない、と眉間に皺を寄せて話し合う姿を想像するとちょっと面白い。それもまた、想像の枠の中でのこと。
ところで、またひとつピッチャーを買ってしまいました。お花屋さんでSALEになっていたものです。また、というのは、前回書いたようにイランのピッチャーを買っていたから。ワンコインでおつりがくるし、サイズが違うからいいか・・・などなど納得する理由をあげつらね。
そう。ようは自分が納得するかなんですよね。きっと。
you and me classic
朝8時から友人と佐賀へ向かった。唐津の七山という場所で暮らしながらお菓子を作っている女性がいる。その日は月に一度の営業日だったのだ。以前貰っておいたDMに書かれてある地図を片手に目印をひとつずつ見つけていく。橋に交番に医院にといった具合。なんだか宝探しをしているみたいな道のりにどきどきした。
帰りがけ、今度は違う道を選んだ。福岡と隣接している佐賀に行く時、山越えといえば大体三瀬峠を意味する。と私は思っている。その三瀬峠を越えると福岡の早良区につながっているわけだが、その道沿いにあるギャラリー「クラフトの店梅屋」さんでセツローさんの手仕事展が開催中だったのだ。世界中のアンティークビーズを使い、木を削って作ったかんざし。その凛としつつも存在感のある感覚に圧倒されつつ、飾ってあるスケッチを眺める。
梅屋さんはギャラリーと母屋のふたつの建物に分かれている。母屋には常設された品が並び、テーブルにキッチン・・・誰かのお宅にお邪魔している気分になり、ついつい畳で寝転がってしまいたくなる気軽さが好きだ。なんだかんだと月1回は通っていて、その都度母屋に並ぶ品を手にとってはいろんな想像をめぐらせる。梅屋さんで扱う作品は、作家さんの作るうつわやカトラリーなどが中心にあるので、生活に取り入れたくなるものが多くていつも悩んでしまう。優柔不断を嘆くというより、この場合は楽しんで。
ちょっと細長い円柱のグラスと、ピッチャーが壁際に並んでいることに気が付いた。色味も完全に透明とはいえず、どこか灰緑がかっている。空気の粒や肌触りが昭和のガラス製品を思わせるややぽってりした印象のガラス。ずっと花器に使えるようなガラスが欲しいと思っていたところに出会ったそのピッチャーは、どうやらイランからやって来たらしい。それがどうしてか琴線に触れたらしく、次の瞬間には「連れて帰ります」と言っている自分がいた。
ピッチャーとしてもモノ入れとしても使おうとも思っていたが、植物のイメージが頭から離れない。そこで、博多でお寺の並ぶ地区にある花屋さんで何か選ぼうとおもったのだ。植物のイメージはあるが、それがどんな植物なのか具体的にはなかったので、店内の植物をひとつひとつ見て回る。と、珍しい紫陽花が目についた。そこのお店は、買った植物の名前を書いたメモを渡してくれる。花の名前に疎い私でもそういう気遣いがうれしい。
今回買った花の名は”ユー・アンド・ミー クラシック”というらしい。クラシック。ガラスの印象と上手く響きあう感じが気に入った。
*ほいあん堂 個人のお宅なので住所は控えさせていただきます。
たまおきともこさんが作る焼き菓子は絶品です。ゴマたっぷりの「ぽりぽり」が好物。
*クラフトの店 梅屋 福岡市早良区石釜870-1
*月麦 福岡市博多区御供所町12-2



