辻さんと彼女が連絡を途絶えて1ヶ月ほどになる。
私は彼等の傍観者になって3年は過ぎた。

今までも何度か別れを繰り返しては元のサヤに戻っていた2人だったから
今回も彼女に連絡するよう何度か言ったが、彼はそのたびに

「彼女と別れようと2年ほど前から
 そうなるようし向けていたし、ハッキリ伝えたこともあります。
 だからこうなってホッとしているんです」

とキッパリした口調で私の話しを制止した。
それに腹をたてて熱くなりながら反論しようと思わない。
「わかった」と、この話しはこれでおしまいと私は口を閉じた。


2人がうまくいこうがいくまいが、傍観者からしたら何もできない。
どうこう言っても蚊帳の外、当事者同士にしかわからない。


付き合うということは目に見えない契約が交わされる。

・1週間(期間は人それぞれだが)に1回はデートします
・浮気しません
・誕生日、記念日、イベントには彼女にプレゼントを渡します
・付き合いが長くなったら結婚(同棲)します

これが最初のうちは良くても
慣れてきたら新鮮さがなくなってダレてくる。
そこをツツいて彼女が怒りだす。
「最近、冷たくない?以前はあんなに優しかったのに!」


よか胸~っ(はぁとっ)
女は尽くされてナンボやっつーのッ!!!


付き合っていくうちに男が変わったんじゃない。
元にもどっただけ。
男にはどうして彼女がいちいち怒りだすのかわからないが
女には彼氏とはこうゆうもんと契約事項を当たり前と思い、
そうじゃなくなると契約違反だと怒りだす。
それが束縛になり、くい違いが生まれてくる。
後はこの契約を続けてゆくかどうか、2人でしか解決できない。


私たちは、おつき合いには発展しないが互いに役割が決まっている。

元気の需要と供給を週末のなかで繰り広げている。

彼が過ごしたいように過ごすのを私も一緒になって過ごす。
それが元気につながっている。

彼を見ていたら、年が離れているのに自分のこどものように思えてくる。
彼がしたいようにすればいい。
愚痴があれば聞くし、肩が凝ると言えばマッサージする、
家事だってする、お酒もつきあう、眠るまでそばにいる。
彼を心配させたり、怒らせるようなことはしない。

つき合っている感覚がない分、互いの束縛感がうすい。
再婚しない同士だからか、こんなぬるま湯がいいとさえ思える。

それを味わいたくて今でも
週末ごとに辻さん宅へ通い続けているのかもしれない。



人生は往復切符を発行していません。
ひとたび出立したら再び帰ってきません。

          ロラン(フランスの作家・ノーベル文学賞受賞者)