昭和の中期の頃。
わが家には、8ミリ映写機があった。

どの家庭にもあったわけではない。
普及率は、1割程度だったのかな?

時々、昔のフイルムを整理している。
その中に、こんなシーンがあった。



長さは、1秒もない。
フイルムが終わってしまったのだ。

そこには、当時の家族がいる。

母、二人の姉、そしてボク。
撮影しているのが、父。

この服装のボクは、16歳。
風景は、元日を過ぎたお正月。

ショルダーバッグを持っている。
どこへ行くにもこれを持ってた。

歩く姿勢が悪いのは、このせいだな?
どこへ出かけたんだろう?

子供達もある程度大きくなっている。
独立心が芽生え、勝手に過ごす日々。

家族旅行なんて、しなくなっていた。
家族の絆が、緩みかけてきた頃かな?

父親は、それが気に入らなかった。
強い家族の絆を維持しようとした。

皆んな、嫌々腰を上げて付き合った。

ああ、思い出した!
世田谷の芦花公園に出かけたんだ。

家族の説得に成功した父。
玄関の前で撮影したのだが・・・。

フイルムが、なくなってしまった。
ボクと一緒で、不器用なヒトだった。

この日のことは、全く憶えていない。
家族もあまり楽しそうな感じではない。

今なら、よくわかる。
この時の父の気持ちが。

もう、この家はない。
この家族もいない。

・・・。

でも、間違いなく幸せだった。
44年前のたった1秒のシーン。

記録を残してくれてありがとう。
家族と自分の幸せを感じました。

今さら、遅すぎるけれど・・・。