ちょっと怖めの内容です。苦手な方はスルーしてください。

 

私がコロナに絶対にかかりたくないと思った論文。

 

まだ査読前(プレプリント)の論文なんですが、コロナに感染した臓器が活性化T細胞を追跡する全身PET検査でわかるようになりました。

 

それを使ってコロナ感染前、感染後654日後のPETを取って、コロナ感染がどのように広がっているのかを調べたものです。

これが元論文(英語)です。Multimodal Molecular Imaging Reveals Tissue-Based T Cell Activation and Viral RNA Persistence for Up to 2 Years Following COVID-19 | medRxiv

 

24人のコロナ後遺症(ロングコビット)を患う被験者で、27日から910日までの体内の感染状況をフォローした論文です。

感染前の画像がbです。

 

(a)は感染後にどのように感染が広がっているかを示す画像です。Pt1は感染後27日目。Pt2は感染後64日目、Pt13は205日目, Pt21は654日目を示しています。

 

bのPre-COVID control2(感染前の画像)とその左となりの654日目を比較してみれば一目瞭然ですが、腹部に黒くなっている部分が広がっています。ここがコロナに感染しウイルスが持続感染したままの部分です。

画像

 

 

コロナに感染して一週間程度で回復するかのように見えて、コロナ後遺症となる人はこのようにウイルスが体内で654日経ってもまだウイルスが体内で広がってる訳です。コロナに感染した人みんながみんなこうなる訳ではありませんので、そこは注釈しておきます。

 

どうしてこうなるのかというと、新型コロナウイルスは人間の免疫を騙したり、免疫細胞を破壊したりする免疫抑制の性質があり、一部の医療関係者からは「空気感染するエイズ」とも呼ばれています。この感染後の免疫抑制がコロナのめんどくさい側面であり、普通の風邪やインフルではこのような現象はおきません。新型コロナウイルス感染症の罹患後の免疫抑制についてはまた別の機会に解説します。

 

繰り返しになりますが、将来のいつかは必ず体内で広がったウイルスを消去する薬はできると思いますが、まだその薬は実用化されていない、ということを述べておきたいと思います。これを見ると、本当に感染したくない。感染しないに越したことはないと思います。

 

肝炎ウイルスを消去するインターフェロン(特効薬)は開発から実用化までに50年近い歳月を必要としましたが、新型コロナウイルス感染症は感染力が強いので、感染者が世界中にごまんといます。製薬会社としては、力を注ぐべき疾患だと思うし世界中の研究者が解決策を模索しているはずです。そのうちに来る朗報を待つしかなさそうです。

 

そして、感染後二年くらいで後遺症が直るという論文もありますが、四年経っても後遺症が治らず未だに仕事にもいけない人もいます。どのくらいで治るのかはまだ不明なのですが、仮に今後遺症で悩んでいたとしても、自然に治っていく人もいます。絶望しないで気長に体調を整えていってほしいと思います。

 

もっと詳しく知りたい方のために上の論文の詳しい画像と解説(翻訳)を添付しておきます。論文には読み方があります。もし、あなたが生命科学、薬学、医学の以外の専門でしたら、元論文を読むのはお勧めしません。後々ブログに書きますが、とんでもない読み方をして、無茶苦茶おかしな解釈をした人がいましたので。(それがデマの温床となっているのですが、それはまた今度)

 

<下記画像の説明(画像下の英文の翻訳と解説(内は著者の注釈))>

SARS-CoV-2感染後のさまざまな時点での4人の代表的な参加者(a)と男性と女性の非感染対照群(b)のMIP(3次元再構成の冠状断像と矢状断像)を示しています。(冠状断像と矢状断像っていうのは画像を取る向きだと考えてくださって結構です)Cは左がコロナ感染前、右はコロナ感染後の頭部と腹部の画像。赤くなってる部分が感染してT細胞が活性化した部分ですね。頭部は鼻甲介(鼻の奥の部分)と耳下腺、肺門リンパ節、肺実質、腰骨髄まで感染が広がってることを示しています。

 

この論文はプレプリントですが、類似している論文で査読後のものもあります。その解説はまた今度。

 

著者コメント:ここまでコロナウイルスの感染が広がっていると、後遺症でおそらく大変な思いをされてると思います。被験者の方が一日も早く回復しますように。

 

 

 

 

F-AraG PET and PET/CT images from participants following COVID-19 and pre-pandemic control volunteers. Maximum intensity projections (MIP; coronal and sagittal views of 3-dimesional reconstructions) are shown for four representative participants at various times following SARS-CoV-2 infection (a) and male and female uninfected controls (b). Axial PET/CT overlay images are shown in (c) showing increased signal in nasal turbinates, parotid glands, hilar lymph node, lung parenchyma, and lumbar bone marrow in representative post-acute COVID and pre-pandemic control participants (white arrows). MIPs for all participants are shown in Supplemental Figure 1.