初代アルドンサ | 小林香オフィシャルブログ「Caori Covayashi」Powered by Ameba

初代アルドンサ

先日、草笛光子さんとの食事に同席させて頂く機会を授かりました。

草笛さんといえば、
映画でもドラマでもたくさんの名作が脳裏に浮かぶと思うのですが、
私にとっては、大ミュージカルスターさんです。

SKDのご出身で、
日本ミュージカル界の黎明期から数々の作品を演じてこられた舞台人。

日本でブロードウェイミュージカルが上演されるようになって
4作品目でどど~んと登場されました。
それが『努力しないで出世する方法』。
いまは『ハウ・トゥ・サクシード』となってますが。

そして、
『王様と私』のアンナ、
『ジブシー』の初代ローズ・・・

そしてなんといっても、
『シカゴ』の初代ロキシー。

さらにさらに、
『ラ・マンチャの男』の初代アルドンサ・・・!

「ラ・マンチャの男」を上演する流れになったいきさつを話してくださって、
当時の日本のミュージカル人の情熱と
なんといっても草笛さんの熱い想いを感じて、感激しました。

興味深々で何かと質問していたら
「もしかしてあなた、観て下さったの?」と尋ねられましたが、
残念ながらまだ生まれてませんでした。

でも、ミュージカル界の歴史を知る必要があると思うので
常日頃からミュージカル黎明期のことを話してくださる諸先輩方のお話しは
注意深く耳を傾けています。
過去を知ることが未来を描くための一助になるし、
先人たちへの感謝の気持ちが無くなったら、傲慢になって進歩がない。

草笛さんといえば、
昨年11月のシアタークリエの『グレイガーデンズ』が凄くってですね、、、
なんとか分の7拍子、みたいな東欧?の変拍子を歌いこなし、
颯爽とした超カッコイイ普段のお姿から一変した
ゴミ屋敷に住んでいるかなりクレイジーな母親役を演じてらっしゃいました。

草笛さんの最後のあの台詞、今も思い出せるなぁ・・・。
最後の母の台詞たった一つに母娘の未来がすべて託された台本で、
(正確に言うと、その台詞を受けた娘役の大竹しのぶさんの顔の表情とセット)
私はその10秒間に舞台上で起こったことに
ドキュンと倒れたのでした・・・。倒れてないけど、気持ちの話し。


特に演劇は、バトンリレーのような側面があると思います。
先輩たちからバトンを渡されて、それを後輩たちに渡せるまで懸命に走る。
自分が生きて仕事している年月だけで完成するもの以外に、
もっと大きな流れの一滴である感覚を持っている演劇人は
多いのではないかと思う。


そんなこんなで、
初代アルドンサにお目にかかって
ミュージカル界の先人たちに思いをはせた一夜でした。

ちなみに、ブロードウェイミュージカルを
日本で上演するようになってから、
まだたったの47年です。