卒業生です | 小林香オフィシャルブログ「Caori Covayashi」Powered by Ameba

卒業生です


私は同志社大学の卒業生です。
法学部政治学科です。

2011年度の同志社大学案内という本に
OB/OG代表として私のインタビューが掲載されています。

これは、進路選択を控えた高校生たちが手にとって、
大学を選択するときに読む本だそうです。

前年のOB/OG代表は、
オリンピックの銀メダリストでした。
今年。私で大丈夫なんだろうか・・・。
受験志願者を増やすのには何の役にも立てなさそうですが・・・。


政治専攻だったので、
今の仕事とまったく結びついてなさそうですが、
そんなことはありません。

私に強烈なインパクトを与えたのは、
イスラエルの大学でも教鞭をとっておられた辻田先生です。
大学3年のとき、辻田先生のゼミをとっていました。

その1年間で、思ったことを簡単に書くと・・・

誰かが得をすると、めぐりめぐって地球の裏側で誰かが損をしている。
ということです。(ちょっと簡略化しすぎですが。。。)
スイッチの原理と勝手に名づけますが(笑)、
あるスイッチを押しこむと、隣のスイッチがポコンと飛び出ちゃう。みたいな。
みんなONになりたいのに、誰かがOFFにされる。

学ぶほどに、政治という広漠たる大海原で
漂流して行った気がします。

もともと、ものごころついたときから
芸術の道に進むことを疑わず、寄り道しながらその道をばく進してきたのですが
高校のときにハタと思ったんですよ。
このまま芸術関係の仕事につくと、
自分と違う視点・感性・脳味噌の構造の人たちといつ交わるのかなぁ・・・と。
日本語なんだけど違う言語で話す人たちと、いったいいつ対話するのか、と。
一生会わないであろう人たちのことを、いったいいつ考えるだろうか、と。
(現に、今日現在の私は、今日の締め切りのことで頭がいっぱい。)

で、芸術系の大学に行かずに、
世界をでっかく俯瞰で捉えられそうな政治学を選んだわけです。
芸術なり舞台なりがこの日常でどういう位置づけにいけばいいのか
従事者たちは誰もが悩むところであると思いますが、
そのためにも、衛星から地球ならびにその局所を見つめるような感覚が
必要なのかなと、漠然と思っていました。

その選択は良かったなぁと思います。


私は、舞台を作りながら、
スイッチのことを考えたいと思います。

先日、さるステージのことで新聞用のコメントが必要だったとき、
ちょっとそんなことを思い出しました。

作品のメッセージがどうなのかということよりも、
人間が動物としてもともと持っている感覚器・五感を使って
シンプルになっていくこと。
他人をどうこうするんじゃなくて、
まず自分自身が、なる。
そういう、見えない行為を、劇場でやる。
ということができたらいいのですが・・・。模索中。

劇場は、
どんな宗教の人でも一つ同じ場所で祈ることができる空間だと思ってます。
それぞれが暗闇のなかで
余計なものを溶かして脱ぎ捨てて、
剥きだした自分の心と対話しながら
純粋にシンプルになっていける可能性がある空間です。
ひとはシンプルになったとき、何を考え、どう行動するのか・・・。

その”シンプル”を作り出すのが夢です。
まだまだ・・・夢です。

ショウは娯楽であるべきだけど、
その娯楽は、衣食住のように大事なんだ。


さあー。

卒業して10年後の6月13日を迎えておりますが、、、

明日はドラロマの振付に入ります。

目の前のことに顔を近づけて愛情を込めて向きあっているうちに、
その背後に、”10年後”というのが、ふいに現れる。のだな。