葉桜の季節とは。
友人のDが興奮した様子で、ついさっきまで読んでましたという風情の文庫本を、「面白いから!」と言って、くれた。
歌野晶午さんの『葉桜の季節に君を想うということ』。
Dは理系企業で働く、文系・国際法務のスペシャリストだ。
そんなDの理系と文系の頭を両方刺激して「面白いから!」と言わしめたこの作品、ほかの本への誘惑を断ち切ってさっそく読んでみた。
ノンストップでただいま読了。
最初は、ミステリということもあって伊坂幸太郎さんの筆感とクロスオーバーしてたんだけど、読み終わったら、なんだこれ、サプライズすぎる!しかもラスト13ページ、これでもかと言いたいこと書きまくってますね。
ミステリって後味がいまいちよくないんですけど、こんなに後味の悪くない、むしろ前向きになれるミステリはなかなかないんじゃないかと思います。内容からして、50代以上の方におすすめの小説です。つまり、満開の花の季節にいる人ではなく、春過ぎし葉桜の季節の世代へ。
東京都写真美術館で北島敬三さんの写真展「1975-1991」を拝見。
79年の新宿、81年のニューヨークの作品群が
盛り場の狂乱シーンをフラッシュで(なま~っ)と浮き彫りにしてて、
存在感が強すぎるモノクロの被写体に恐怖すら感じます。
コザ、東京、NYの写真を見たあとに続く東欧の作品群が、暗~い光で、
これまた報道写真としての角度で見ることもできます。
デジカメ普及で誰もが写真を撮る時代ですが、
プロの写真をたまに鑑賞するとやっぱり強烈ですね。
写真は一目でいろんなこと伝えられるツールなので、
もっともっと世のために活躍できる機会があると思うんですけど・・・
ただの一瞥で、一生脳裏に刻み込むこともできるんですよ、世の中の真実を。
そのパワーって、弱まってません?
私が知らないだけだといいのですが。