ときどき何だか
暖かいものに包まれたいというか
ぎゅっとされたいな
と思うことがある

秋に感じる寂しさとは違って

ホッとできるひとに
安心できるひとに
思い切り寄りかかりたいな
と・・・





わたしは
親にぎゅってしてもらった記憶があまりない

もちろん
赤ちゃんのときは
してもらっていたんだろうけど

物心ついたときには
『お姉ちゃん』で

親の膝の上も腕の中も
当たり前のように二つ下の弟に譲って

甘えず頼らず育ってきた





親に朝起こされた事もないし
早くしなさいと言われた事もないし
勉強しなさいと怒られた事もない

でも弟と同じことしていて
褒められるのは弟
注意されるのは私
そんなときはすごく腹が立った

今思うと
『あたしもこんなに頑張っているのに』
っていう気持ちがあったんだろう

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9歳下の弟が生まれたとき
わたしはお姉ちゃんというより
もう一人の母親のようだった

抱っこしたり
おむつを替えたり
ぬいぐるみ使ってあやして遊んだり

一番下の弟の寝返りを初めて見たのは
わたしだったかもしれない

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その弟が歩くようになるころには
ハーフの女の子みたいに可愛くて

まるで生きているお人形の手を引いて
歩いているようだった

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成長してくると
姉弟三人でテレビゲームしたり
少年漫画を見たりした

わたしは木登りや
サッカーが好きだった

女の子の遊びより
男の子の遊びが好きだった

でもそのうち弟2人は
男だけで話すようになって

2人でつるむようになった





その頃わたしは
恋をするようになっていて
彼もできた

でもどうしても

母親がやるのと同じように
弟と同じように

彼に対しても
あれこれしてやったり
悩んでも自分で何とかしたり
辛くても平気なフリしたり…

わたしと彼の関係は
まるで母と息子だった
もしくは姉と弟だった

そして自滅していた

本当は女でいたかったから
本当は男でいて欲しかったから

不平不満が溜まって
我慢出来なくなって

自分から別れを告げてきた





わたしは
甘え方を知らない
頼り方が分からない

そんな長女気質のわたしは

仕事でも
家族でも
恋愛でも
結婚でも

いつもそれなりに形にしたのに

いつも
どこか虚しかった





そして今ひとりになって
時々ふと思う





疲れたな

誰かに寄りかかりたいな

ぎゅってして欲しいな





あ〜
わたし

甘えたいんだな

って





先週末
そんな気持ちになって

母親にメールしてみた





「わたしも甘えたいから
今夜夕飯食べにいっていい?」





『甘えたいから』なんて
ストレート過ぎて
後からすっごく恥ずかしくなった

メールだから送れたけど
直接口では言えなかった

私にはバンジージャンプだった

もうすぐ38歳になる娘が
還暦過ぎた親に向かって…





自分で苦笑したけど
母親は笑わなかった

「くればぁ(来たらぁ)?
夕飯何にしよっかな?」
と返事をくれて

スタバのコーヒー(豆)と
エクレアやワッフルを用意して待っていた

偶然なのか呼んだのか
別居している父親も来た

その日の夜ご飯は
わたしのお皿の牛肉が一番多かった





さすがに
ぎゅってして
とは言えなかったけど(笑)

ぎゅっとされてるような
包まれるような気持ちになった

今のわたしには
稼ぎもパートナーも子供も
何も無いのに

それでも親から
愛されているんだなと思った





翌日

ブルーインパルスと
梅雨の合間の青空を
母親とキャッキャ見上げてたら
なんだか爽やかな気持ちになった

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