Hai Okeiどうぇす!
今現在匂いを嗅ぐか、本を読むかしか考えてない月間の私。
しばし私の読書感想文におつきあいくださいませ。
さて今回は
だだ~ん「匂いと香りの文学誌」
まあなんと美しい見た目(装丁)…
文学誌という事は香りにまつわる物語をたんと教えてくれるわけですな!
これは楽しみ楽しみ~~~~~~
…
…
読みました。
へ…へ…変態の宝石箱やあ~~
いやあ…匂いってほんと突き詰めていけば深い!!!
私なぞまだひよっこだと思わせる主人公の数々…
●お風呂に入らず、自らの醜悪なニオイがする部屋に閉じこもって
「ああ、美しい。今が私の頂点みたい」と言う若い娘。(by古井由吉)
●若い女性と添い寝をしてその甘い匂いをかぎまくる老人(by川端康成)
●初体験の女性の香りを覚えていて、それをたよりにその女を探し当てる男。(by三好十郎)
ふ、、ふふ。
すごすぎる。
なんか悔しい。この人達は私の知らないニオイの感じ方を知ってる。。。。。
この本で紹介されている物語(本)は明治から昭和に書かれたものばかりなので、旧字体や昔の言葉で書かれているし、作者の解説も難しい言葉ばかり。
漢字をアプリで検索しながら読みました。(そうだよアホだよ!)
しかしその文章が明治,大正,昭和初期の古い匂いを連れてきてくれているんですよね~
(古い紙の匂いやアスファルトのない土の道の匂い、祖母の着物の匂いとかが混ざり合った感じかなあ…)
それにもちろん変態の話ばかり書いてある訳ではありません👈
そ~だよ!!うん!うん!と激しく同意する箇所もたくさんありました。
それをいくつかの一節をご紹介いたしますね。
同意その❶
大体酒は嗅ぐものであって飲むものではなかったのだ!
(by 薩摩治郎八『ぶどう酒物語』)
この治郎八さんなる人物はパリの社交界に名前をとどろかせていたそうだが、父が日本有数の財閥まで育て上げた商店を治郎八さんが一代でつぶしたという大放蕩息子らしい。
そんな私とは世界の違う人の言葉で私は狂喜した。
「そう!!そうだよ!!!!香りだよ!」って叫びましたよ。
仲間!仲間みっけた!!!
酔っぱらいからは臭気が漂う 👈そう臭い!もったいない!!
ワインにしろ日本酒にしろウイスキーにしろグラスに注いだときのあの香り、、、
あれが酒の楽しみなんだよ~
酔っぱらう事が目的な人もいるだろうけど、私は治郎八派だなあ。
同意その❷
その花の咲く前後には、ウツカリ病気も出来ず、風邪も引けぬ。
(by 若江得行 『上海生活』)
花は姿ではなく香りを愛でるという彼はまさに私と同族の人
わかるーーーーーーー!!!
そうなんですよ!花が咲き始める春頃は一層体調に気を付けています。
「花の香りを愛づるために健康に気を付けるのはなんとも雅ですな」と若江さんはおっしゃっていますが、、若江さん…今はね花粉症なるものがありまして…その雅が難しくなっているんですよ~そんな中でも貴方と同じ精神で頑張っておりまする。
「上海生活」の中には色々な匂いが出てきます。
雨の日の下水のニオイ。晴れの日の道の埃のニオイ。ムッとするような油のニオイ、、と上海の街のニオイも紹介されていますが、香を売る店に置かれる龍脳香、麝香、安息香、、、と様々な香の数々…聞いたことのない香の名前を見ると、どんな香りか知りたくてウズウズする。
そんな若江さんが激押しするのが夜来香(イエライシャン)。。
8月上旬から10月下旬に出て来るから絶対に買い漏らしてはいけないとまで。
夜中にフト目をさますと部屋中が香水をふりまいたほど悩ましく香っているのである。
そうなんです。鼻つまらせてる場合じゃないんです。
良い香りを嗅ぐために健康でいなきゃいけないんです!!
同意その❸
厠の臭気止めに丁子を焚いている家があるが~あまり良い薫りのする香料を用いない方が良い。~有難味がなくなったようになるからである。(by 谷崎潤一郎 『厠のいろいろ』)
これはわかりみが深すぎる…
私にはこれがまさに金木犀なのである。
金木犀の香りを「トイレのニオイ」という人が未だに多い。
確かに昔トイレの芳香剤は金木犀が多かったし、公衆トイレの側にも金木犀は植えられていることもあった。
悲しい。悲しすぎる。金木犀のような素晴らしい香りがイコールトイレという擦りこみが!
潤一郎さんも言っているではないか。
「私は丁子の香を愛するが故に、特に忠告する次第である。」と。
私も金木犀に関して特に忠告したい次第である。
以上の3点は悶絶するほど激しく同意してしまいました。と同時に私だけじゃないんだという喜びを感じさせていただきました。
この本には他にも興味深いお話がたくさんありました。
香水、外国の香り、臭いニオイ、幻臭…
それぞれのテーマにあった作品の深堀が凄すぎて読み応えがあります。
おかげさまで読みたい香りの本が又増えてしまいました。
私よりもっと香りの上級者である主人公たちの物語におぼれたい…(もう抜け出せない)