旅先の朝は、いつもよりすこしだけ早起きできる。
目が覚めて、まだ眠そうな彼女の寝ぐせを見て、ちょっと笑ってしまった。
「なんで笑ってるの?」と聞かれたけど、「いや、別に」とごまかす。
カーテンの隙間から、やわらかい光が差していた。
今日は晴れそうだ。
🍽 旅館のバイキング、つい取りすぎる朝
朝食はバイキング形式。
旅のときだけ、普段の3倍くらい食べてしまうのはなんでだろう。
なんとそこには新鮮なおさかながあるという。
そこにパンも追加して、コーヒーも飲んで…とにかくいろいろのせた。
何ともわんぱくで風情のかけらもない一皿ができてしまった。
彼女は、お皿のバランスを考えてるのか、彩りがきれいだった。
「これ美味しそうだね」と言って勧めてくれたひと口が、想像よりうまくて、
あとで自分でも取りに行ってしまった。
最後まで詰め込もうと、果物だけでもといってしまうのはなぜだろう
🚶♂️ 海辺の道をふたりで歩く、風の強い朝
食後、少しだけ外を歩くことにした。
旅館の裏手から海沿いに出られて、波音がずっと響いている。
まだ朝の空気が冷たくて、手をポケットに突っ込みながら歩いた。
ふと見上げると、カモメが何羽も旋回していた。
「多いね」って言ったら、彼女はちょっと怖そうに身をすくめて、
「落としてこないよね…」って真剣な顔で言ってた。
その表情がおかしくて、笑ってしまった。
海辺の風に吹かれて、彼女の髪がゆれていた。
🕊 朝の静けさと、旅の余韻
人はまだ少なくて、すれ違うのは地元の人っぽいおじいちゃんだけだった。
あいさつを交わすでもなく、目が合って、軽く会釈するくらい。
観光地って、朝はこんなに静かなんだなと思った。
にぎやかな時間より、こういう静かな時間のほうが記憶に残るかもしれない。
彼女が「寒いから戻ろっか」と言って、
来た道をまた戻った。
その間、特別なことは何もなかったけど、
この時間はきっと、あとからじわじわと思い出になる気がした。




