旅先で、やけに静かになる時間がある。
今日の午後は、まさにそんな時間だった。


昼を食べて、ふたりで坂を上がって、汗をぬぐうほどじゃないけど、ほんの少しだけ息が上がるくらい。


その坂の先に、白い建物のカフェが見えて、彼女が「ここ、行きたいかも」って指差した。


外観からしておしゃれで、これは人気ありそうだな…と思ったら、案の定すこし待った。


でも、結果的にそれもよかった。




🌊 窓際の席と、流れてくる潮風

運よく案内されたのは窓際の席だった。
正面には熱海の海が広がっていて、少し右の方にはヨットみたいな白い船も見えた。


彼女はメニューを開くなり、「これ絶対かわいいやつ」と言って、いちごのデザートを迷わず注文。


正直、俺には“アシェットデセール”が何なのかよくわからなかったけど、名前だけでテンション上がるのが面白かった。




🍓 テーブルに春がきた、みたいな一皿

出てきたデザートは、まさに彼女が言ってたとおり「かわいいやつ」だった。


いちご、アイス、ソース、花びらみたいな飾り。


スプーンを入れるのをためらうくらいきれいで、彼女は写真を何枚も撮ってた。


俺はその横でコーヒーを飲みながら、
「撮った?もう食べていい?」って聞いて、ひと口分けてもらった。


甘すぎず、口の中が春になったみたいな味だった。


彼女が嬉しそうに食べているのを見るだけで、もう満足感は十分だった。

 

 
 

 

 


📷 言葉のない時間の居心地

そのあと、ふたりとも黙ったまま海を見ていた。


紅茶の香りと、外の光と、たまに聞こえる遠くの車の音。


観光地にいることを一瞬忘れそうになるような静けさだった。


彼女は隣でスマホを見てたけど、時々こちらに体を寄せてくる感じが、


なんとなく「この時間を共有してるな」って気がしてうれしかった。


窓の外に小さなカモメが見えて、


彼女が「あれ、飛ぶの上手いね」ってぽつりと言ったのを覚えている。

 

 

 

 

 


☕ 旅先のカフェって、たぶん特別な場所

普段だったら、ただの休憩に入るカフェも、
旅先では“思い出になる場所”に変わる。


彼女が笑って、スマホの写真を見返して、うれしそうにしてくれるだけで、


このカフェを選んだことが正解だったとわかる。


次また来たら、同じ席に座れるといいな。


そのとき、同じ景色が見えるかはわからないけど。