はいはい、まだ落ちてます。

 鬱、真っ盛りです。

 こんな時には、頭の中にいつもある昔話が浮かびます。

 浦島太郎です。

 まあ、この昔話は日本人なら誰でも知っているでしょう。

 が、俺の記憶している浦島太郎が一般的かどうか、ちょっと心配なので、あらすじなどを…

 昔々、浦島太郎という若い男がいた。

 ある日、彼が、何にもすること無いから、軽く海岸でも歩いて、可愛い女の子でも居たら、ナンパでもすんべぇかな、ってな感じで太郎は近所の海岸へ行きました。

 すると、海岸では、可愛い女の子どころか、青っぱなを垂らした、馬鹿丸出しの餓鬼ども数名が、亀の甲羅に女性器名称や、「080-××××ー××××に電話かけると、誰にでもやらせる女が出るから、かけてみな」とか、公衆便所の落書きをしたり、餓鬼におびえた亀が甲羅の中に頭を引っ込めたその穴を、パテで埋めて、頭が出せないようにしたり、挙げ句の果てには、「お前、亀なんだから、ガメラみたいに、手足引っ込めて、ジェット噴射出して、飛んでみろよ」と言いながら、亀の手足を殴ったり、蹴ったりして、甲羅に引っ込めさせて、その穴にドラゴン花火やら、爆竹やら、形成炸薬やらを詰め込み、火を付けるという、ガメラごっこなる、面白くも非道な遊びをしていました。

 見るに見かねた、太郎は相手が子供なのを良いことに、餓鬼どもをボコ殴りにして、持っていた小遣いを全部没収した上に、全員の顔を写メで写した上、住所と携帯番号を聞き出し
「これは、強盗じゃないからな!この亀の治療費と慰謝料だから、絶対に、親に話したり、学校で先生に話したりすんなよ!もし、話したら、テメェ等の住所と携帯番号は解ってるんだから、追い込みだってかけられるし、それを2chで晒す事もできんだかんな!」
 と、亀を助けてあげました。

「おぉ、最近のガキは、小遣い結構もらってんだな~。よし、これだけあれば、これからパチンコ行って、CR北斗の拳でもやってみっか~」
 と、軽くテンションの上がった太郎の足下に転がる、甲羅が卑猥な文字や落書きで汚れ、手足の穴は焦げ、パテで首を出す穴を塞がれた亀が、甲羅の中から言いました。

「あの~子供たちから、小遣い取ったのは、黙ってますから、このパテを取り除いてはいただけないでしょうか?」
 太郎は、甲羅の中からこもって聞こえる亀の言葉を聞くと、軽く舌打ちをして、面毒くさそうに亀の甲羅の首の穴を塞いでいるパテを、蹴りました。

 幸い、パテはまだ完全には渇いて無く、太郎の蹴りは、パテを簡単に割ると、そのまま、亀の鼻を直撃しました。

 やっと、甲羅から首が出せた亀は、鼻から血を流し、前歯が2本俺ながらも、太郎に礼を言うのです。

「ありがとうございました。ちょっと、やり過ぎ感もありますが、私はあなたに助けられました。なので、どうか私が所属している竜宮城へお連れして、お礼をしたいのですが、いかがでしょう?あと、鼻血を止めたいので、ティッシュがあったら、分けてもらえませんか?」

 と言うのです。

 再び、軽く舌打ちをしながら、ポケットからさっき駅前でもらったポケットティッシュを出しながら

「その、竜宮城ってのは、楽しいのか?ってか、つまらなかったら、殺す」
 と、物理的にも精神的にも上から目線で亀に言います。

 亀は、水かきでポケットティッシュを受け取ると、器用にティッシュを取り出し、自分の鼻に差し込みながら
「も、勿論です。竜宮城は、下は18から、上は25までの、可愛い女の子が沢山いる、素敵な所です。当然、私を助けていただいたので、料金は取りませんから、安心して下さい」
 と、魅力的な提案をしました。

 ちょっと、そんないい話があるわけねんじゃね?

 とか太郎は思いましたが、亀が甲羅の中から出した、竜宮城に所属する女の子の写真を見ると、途端に疑念を捨て、亀の甲羅に乗って

「GO!GO!ソッコーで竜宮城へ向かえ!」

 と亀を急かす始末。

 そんなこんなで、亀に乗って、浦島太郎は海の中のパラダイス、竜宮城へ到着します。

 そして、竜宮城店内に入ると、確かに亀の言っていた通り、若くて可愛い女の子が太郎を出迎えてくれました。

 亀は、舌なめずりして女の子を値踏みするように見回す太郎の脇を抜けて、奥の部屋へ入りました。

 なにやら、亀は誰かと話している様子…

 一瞬、太郎は嵌められた、と狼狽しましたが、奥の部屋のドアが開いて、店の女の子よりも、もうワンランク上の美女が出てきて
「この度は、ウチの亀を助けていただき、本当にありがとうございました。つきましては、太郎さまに、この竜宮城で思う存分、楽しんでいただき、それをもってお礼とさせていただきます。もちろん、このお店のオーナーである私、乙姫も全身全霊でお礼をさせていただきます。勿論、お代は一切いりませんので、太郎様が満足されるまで、存分に楽しんで下さいませ」

 と言われた太郎、それから時間どころか月日が経つのも忘れて、竜宮城で飲めや歌えの大騒ぎをし、夜になったら、乙姫をつれて、二階のベッドルームであらゆるプレイをしまくりました。

 しかし、どんなに可愛い女でも、三ヶ月間、昼も夜も無く、リビドーの赴くままに、あんな事やこんな事をしていれば、マンネリ化してしまいます。

 そろそろ、陸に戻って、HDDレコーダーに録画されているいるであろう、1クール分のアニメも見たくなります。それに、家賃や電気代の支払いも、この3ヶ月していない事に気付いたので

「あのさ、とりあえず、一旦、陸に帰ってもいいかな?やんなきゃならない事もあるんで、一旦、一旦、家に帰らせてくれ」
 と、乙姫に言うのでした。

 乙姫は、この3ヶ月間で太郎の肉奴隷となっており、太郎を陸に戻すのは抵抗があったのですが、それでも自分のご主人様の太郎の言うことなので、断る事は出来ませんでした。

「わかりました、ご主人様。それでは、亀があなたを陸まで連れて行きます。そして、この乙姫を忘れないために、この玉手箱をお持ち下さい、ただ…」

 そこまで言うと、乙姫は口ごもってしまいます。

「ただ、なんだよ?」
 あらゆる意味で、上から目線で、太郎が訪ねると

「ただ、この玉手箱は、絶対に開けないで下さい。絶対にです」

 そう言うと、乙姫は奥の部屋へ逃げるように入っていきました。

 太郎は、そんな乙姫を追うわけでもなく、亀の背中にまたがると

「んじゃ、帰るわ、俺」

 と言い残し、小脇に玉手箱を抱えると、亀の腹を踵で蹴ると、陸へと戻っていきました。

 陸へ戻り、「では、太郎様、もう、乙姫様は太郎様が居なければ、満足できない身体になってしまったので、必ず用事が済んだら、この海岸で、いっこく堂の、声が遅れて聞こえてくる芸をやって下さい。それが聞こえたら、すぐにお迎えに来ますんで!」
 と、言って、亀は再び海の中へと戻って行きました。

「あの亀、馬鹿だろ?素人に、あの芸が出来る訳ねぇっての!」

 と、吐き捨てるように言うと、小脇に抱えていた玉手箱を地面に起きました。

「これ、絶対に開けるなって言っていたよな。絶対に開けるなって…」

 太郎は悩みました。

 なぜなら、お笑いの鉄則として、絶対に押すな、とか、絶対に開けるな、とか言われた時は、絶対にフリだからです。

 お笑いフリークの太郎は、乙姫があれだけ、開けるなって言うことは…絶対にフリだよな。

 と確信すると、玉手箱を開けてしまいました。

 すると、玉手箱の中から、煙がもうもうと立ちこめ、太郎はあっという間に、老人になってしまい、チンコも二度と勃つ事は無くなったとさ。

 って話ですよね?

 まあ、細かいところは、違っているかもしれないけど、大筋はこんなストーリーだったハズ。

 ここで、俺が理不尽だと思うのは、なんで、開けてはいけない玉手箱を乙姫は太郎に渡したのでしょうか?

 亀を助けた恩は、竜宮城の酒池肉林レイヴパーティーでチャラになっているハズ。

 しかも、乙姫は、太郎を愛してしまったハズ。

 なのに、何で老化促進ガスを封じた玉手箱を、絶対に開けるなと言いながら渡したのでしょうか?

 開けちゃいけない物なら、お土産に渡すのは行動として不自然であり、理不尽です。

 せっかく、浦島太郎は亀を助けたのに、最終的には、その恩を仇で返される運命ってどうよ?

 この、昔話から読み取れる教訓は、いじめられている亀や人間を見つけて、それを助けても、最終的には不幸になるって事か?

 いや、それしか無いだろ!

 亀を助けたのが、乙姫への貸し1とすれば、その貸しは、レイヴパーティーで返している。

 そして、浦島太郎は、何も悪い事はしていない。
 あ、俺の書いたあらすじでは、俺が太郎に変なキャラ付けしたから、そうは思えないかもしれないけど、原作では、太郎っていい人でしょ?

 だったら、なんで、最後の最後に、あんなトラップを仕掛けた玉手箱を渡すの?

 誰だって、お土産として渡された物があれば、開けるなって言われても、開けるだろ?

 まして、絶対に開けるな、ってフリをされたら、開けるだろ?

 ってか、開けちゃいけない物をお土産に渡すのがおかしい。

 あれは、悪意があるとしか思えない。

 つまり、この昔話のメッセージは、人間はどんなに善人でも、無差別テロからは逃げられないし、他人は恩を仇で返すから、信じちゃダメだって事だろ?
 ようは、世の中ってのは、理不尽で、結果的には不幸にしかならないって事ですよ!
 あとは、他人の親切を信じるな、とか、女から物をもらうと、ろくな事が起きないって事か?


 やっぱ、浦島太郎って昔話には、アイロニーしか詰まってないな。

 こんな、昔話、子供に教えちゃいけないと思うぞ!

 俺みたいな、ペシミストになっちゃうからな!