前記事で宣言したように、今日は行動を起こした。


 えっと、事の発端を知りたい人は、こちらの記事にて嘆いてますんで、お読みになって下さい。

 でもって…

 あの記事を書いてから、親父に電話したら、時間があるってんで、ここは一つ親父に協力をあおいで、MR2を押しがけならぬ、引きがけして、エンジンをかけて自走して持って行く事にした。

 でもって、それならば、親父に車でディーラーまで付き合ってもらえば、帰りは親父の車で戻ってこられるってわけで、楽々だ!

 と、思ったら大間違い…

 MR2の駐車場は、狭いので牽引して出るのは不可能。

 そうなると…

 牽引ロープを付ける事の出来る場所まで俺がMR2を押さねばならない。

 駐車場から、約50m程離れた場所で、作業が出来そうだ。

 ってなわけで、親父には、その50m程離れた場所に車を止めておいてもらい、MR2の運転席に座ってもらう。

 運転手は親父。
 エンジンは俺だ!

 駐車場から、道路までは、緩やかな下り坂だった。

 運転席に親父が座って、サイドを下ろしたのを確認すると、俺は全身を使って、MR2を押した。

 車って、動き始めるまではキツいけど、一度動き出せば、そこそこ押せる。
 しかも、道路までは緩い下り坂。

 で、道路に出たまでよかったのだが…

 まあ、道路と言っても、裏路地みたいな道路なので、車がバンバン行き交うような道路ではない。

 が、しかし!

 俺がMR2を道路に出したタイミングで、その道路に車が現れた!

 しかも、前後から!

 そのうえ、雨まで降って来た!

 つーか、マジ降りだ!

 裏路地なので、MR2が道路に止まってしまったら、すれ違いは出来ない。

 少なくとも、目的地の50m先の場所まで行かないと、絶対にすれ違いは無理!

「あがぁぁぁ…」
 
 もう、声に鳴らない声を出しながら、全力でMR2を押す。

 計算外だったが、道路は目的地に向かって、極緩い上りこう配。

 一旦動き始めれば、車を押すのは以外と行けるんだが、これが上りこう配となると、話は別。

 しかも、前後から車が迫る。

 もう、俺にはMR2を全力で押す以外の選択肢は無い!

 シューズがアスファルトをグリップしてるのが解るほど、MR2は重い!

 心臓が、バクンバクンと、悲鳴を上げる。

 これが、エンジンだったら、バルブサージを起こしているだろう、ってぐらい、俺の生体エンジンが回転している。

 後少し…

 ここでまたも、計算外の事態!

 作業をしようと思っていた場所と道路の再開目に、縁石があったのだ!

 恐らく、高さにすれば、5センチぐらいだろう。

 しかし、俺の生体エンジンはもうブロー寸前!

 この5センチがかなりキツい!

 押している車にそこそこ勢いが有れば、なんて事は無いのだが、俺は極緩いと言っても、上りこう配を押しているのだから、そんなに勢いが有る訳が無い。

 しかし、MR2はこの縁石を超えなければならい!

 やるしか無い!

 俺は、俺の体内の生体エンジンをレッドゾーンまで回し、足の全筋力を使い、MR2に勢いを付ける。

 間の前はもう真っ白。

 多分、心臓発作で死ぬ時ってあんな感じなんだろう。

 なんにも見えない。

 見る必要も無い。

 俺は、MR2の生体エンジンとなって、前進させる事さえすれば、運転は親父がやってくれる。

 押す事だけに専念すれば良いのだ!

 ガッ、と一旦MR2がつまづく。

 フロントタイアが縁石に当たった。

 最後の力を使って、MR2を押す俺。

 どうにか…どうにか、縁石を超え、目的の場所にたどり着く。

 MR2のうしろで膝から崩れる俺の後ろで、俺に前後から迫って来ていた車2台がすれ違う。

 暫くは立てない。

 息が荒い。

 うっかりすると、肺が出ちゃいそうなぐらい、息が荒い。

 心臓も、油断すると、爆発して粉微塵になりそうなぐらい、バックンバックン言っている。

 動けない。

 もう、マンガだったら、心臓が前後に飛び出してバックンバックンしているだろう。

 気が遠くなりかける。

 目がかすむ。

 あ、彼岸の向こうが見えそうだ…

 うん、刻が見えるよ…

 いや、ニュータイプにはならないけど…


 汗と雨で、ずぶ濡れの俺は、暫くMR2のバンパーを背に、しゃがみ込んでいましたとさ。

 …つづく…