「人をケアする人が、報われる社会に」



――日比谷で響いた、看護・介護職の叫び


東京・日比谷野外音楽堂に、白衣や制服姿の人々が集まりました。

看護師や介護士たちが声をそろえたのは、「賃上げ」と「増員」を求めるため。

静かな怒りと、切実な願いが、秋空の下に響き渡りました。



■ “やりがい”だけでは暮らせない現実



「人の役に立ちたい」「支えたい」――そんな思いでこの仕事を選んだ人がほとんどです。

けれど、現場の実情は厳しいものがあります。

物価は上がり続け、生活費はかさむ一方。

夜勤をこなし、休日も出勤しても、手取りは20万円前後。

疲れを抱えながらも、患者さんや利用者さんの笑顔のために働き続ける。

それでも「やりがい」だけでは、暮らしていけないのです。



■ 高齢化と“医療費削減”のはざまで



背景には、社会全体の構造的な問題があります。

高齢化が進み、医療費や介護費が増大する中、国は「財政健全化」の名のもとに、報酬を抑える方向へ。

けれど、そのしわ寄せはすべて「現場」に押し寄せます。

人員不足で一人あたりの負担は増え、十分なケアをしたくても時間が足りない。

「患者さんに寄り添いたいのに、流れ作業のようになってしまう」

そんなジレンマを抱える人も少なくありません。



■ “ケアの価値”を、どう考えるか



看護や介護は、「誰かの人生を支える仕事」です。

目の前の人の痛みや不安に寄り添い、回復や安心を支える――。

けれど、その尊い仕事が、社会的には十分に評価されていない。

「ケアの価値」を軽く見てはいけない時期に、私たちは来ているのではないでしょうか。



■ 私たち一人ひとりの問題として



看護・介護の現場が疲弊すれば、その影響は社会全体に広がります。

自分や家族が病気になったとき、老後に介護を受けるとき、

支えてくれるのは、いま声を上げている彼ら・彼女らです。

「彼らの待遇を良くすること」は、回り回って私たち自身の安心につながる――

そう考えると、この集会は“他人ごと”ではないはずです。



■ 終わりに:感謝と共に、関心を



現場で働く人たちの努力に感謝をしつつ、

「もっといい環境をつくるには何が必要か」を、

一人ひとりが考えることが大切です。

署名活動に参加する、ニュースをシェアする、

選挙で医療・福祉政策を重視する候補を選ぶ――

できることは、小さくても、きっとあるはずです。


「人をケアする人が、報われる社会に」。

この願いを、私たちの共通の声にしていきたいですね。