鍵をかけろっ!
見たくないからっ!
アメリカに来てから、日本では一度も遭遇したことのない
衝撃的場面に何度も出くわした。
それは、他人様の排泄時。
鍵が壊れているわけではない。
鍵のかけ忘れか、はたまた意図的にかけないのか、確かめようがない。
あるときは学校で。
トイレの入り口のドアを開けると、一番手前の個室のドアが開いていた。
空いていると思い、アタシは完全に無防備の心でその個室に向かった。
ふと中を見ると、人がいるではないか。
うおぉっ!
ジーンズもパンツも下ろして、用を足している。
ドアは全開。
これだけ開いてて、かけ忘れはあり得ない。
向こうは驚く様子も、焦る様子もない。
アタシが動揺している。
動揺しつつも、平静を装い、
何事もなかったようにそのままトイレの外に出た。
悪夢だ……。
勘弁してくれ……。
あるときはジムで。
トイレは女子更衣室の中にある。
ドアが少し開いていた。
こっちでは、誰も使っていないときは
「空いてますよ」という意味で、ドアを開けておく習慣がある。
当然誰もいないだろうと思って、やや勢いよくドアを開けた。
うおぉっ!
ジャージもパンツも下ろして、用を足している人が……。
「エクスキューズミー」と言って、ドアを閉めた。
いや。ちょっと待て。
なんでアタシが謝らなきゃいけないんだ?
謝ってほしいのはアタシの方だ。
見たくもないもの見せられて、気分が悪いっ。
当の本人は驚きも、焦りもしない。
……見せたいのか?
こっちの人間は見られても、見ても気にしないのか?
わからない……。
日本帰国まであと53日…
見られた方が気にしなくても、見ちゃった人の身にもなってくれ……。
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