〈 長火鉢の向こうに佇む、一人の花魁が艶然と微笑んだ。その、生唾を呑み込まずにいられない美貌は、月下に絢爛と咲き誇る白百合のようだ。だがーどこか、違う。

その世にも美しい容貌とは裏腹に、どこか他人との距離を置くような神秘的な雰囲気。殺気すら跳ね返してしまうくらいだ。

「妓楼“夢幻屋”の深雪と申します。お見知りおきを」
















「何奴だ!」

腰の太刀の柄にあてがい、鯉口まで切った。いざとなれば、即座に一刀の下に斬り伏せるーー情け容赦のない心算だ。

「世の中、“見ざる聞かざる言わざる”が生き延びるコツでありんすよ」

「うぬは、ただの花魁ではないな・・・」











「真(まこと)の世の事実なんて所詮は蚊帳の外でありんしょう、此処にとっては」

花のような笑顔を向けながら、そう囁く深雪。














「お前は・・・いったい・・・」

「あちきは、荒ぶる神さまの代弁者でありんすよ」

深雪の冷たく理性的な声音が闇を震わせていった。〉































・・・と、まあ、現在執筆中のクトゥルフ短編ーー昨年に引き続き、今年刊行予定のクトゥルフ神話アンソロジー第三弾に寄稿予定の“花魁×邪神”短編の原稿の下書き、その一部であります。







吉原遊郭の資料本や当時の花魁さんの生活事情に関する本、江戸期の社会生活を記した書籍をあれこれ頁をめくりつつ、一方でクトゥルフ神話世界の資料にもあらためて目を通してる毎日・・・いやはや、面白いですよ。特に吉原について。


時代劇や時代小説だけではわからない事や決まり事などがいろいろあって、それはそれで興味深いです。









あとは、この世界とコズミック・ホラーとどううまく融合させられるか。










締め切りは五月末。頑張るぞ。




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