非日常-History- -6ページ目

非日常-History-

つらつら...つらつら...綴ります...

『心霊探偵八雲』の2巻を読んだ姉が、私に言った。

「ゆかりが言ってたあれって…これのこと?」

どうやら『ネクロフォビア』についての事らしい。

私は一言「そうだよ」と答えた。

すると姉は納得したように「こんなの本当にあったんだ」と言った。

確かにこの感覚は一般人からしたら全く理解できない感覚だろう。
実際私も初めてこの症状が出始めた時は、自分はついに可笑しくなってしまったと思って頭を抱えたほどだ。
でもネットで初めてこの症状にはしっかりと名前があることを知ると、不思議と納得してしまった。
「自分以外にも同じ苦しみを味わっている人がいる」ということが、あんなにも安心するものだとういうことを今回の事で初めて知った。

最近ではあまりパニックを起こさなくなった。
起こす前に考えを切り替えることが出来るようになったようだ。

ただ最近とてつもない虚無感に苦しんでいる。
原因は…まぁ大体見当はついている。
全ては自分の心の弱さのせいだろう。

どうしたら強くなれるのだろうか。

どうしたら一人で生きていけるのだろうか。

最近はそればかり考えている。

結局いつも結論は出ないのだけれど…


そして、また今日も、一人になる夢を見る。


無限ループって、怖い。
私が通っている大学の卒業式。
その日は友人とライブに行く予定だったので、とりあえず後輩として見送りだけはしておこうと友人が言った。
私も一応自分の卒業の時のために袴などを見ておきたかったので、彼女の意見に了承した。
しかし、正直あまり行きたくはなかった。
どうせ以前の二の舞になることが分かっていたからだ。

まぁ、やはりその通りになったのだが…

戯れる同級生達と先輩達。
一人残される自分。
「一緒に写真を撮ろう」と誘われる同級生たちを尻目に、私は一人せめて邪魔にならないように隅で待つ。
誰も私に話しかけたりはしない。
誰も見ようともしない。

最初から変わらない。
これが、現実なのだ。

その時私は、平静を装う。
それでも、心の中はいつも友人達に対する「嫉妬心」で歪んでいた。
しかし、それももう慣れてしまった。
自分は元々独占欲が強く、嫉妬深いのだ。

友人が私以外の友人と遊んでいる。
私以外の人が楽しそうにしている。
自分より頭が良い。
自分より可愛い。
異性にもてはやされる。

そんなくだらないの事に、私は嫉妬する。

性根が腐っていて酷く惨めで、心の小さい人間だと自分でも分かっている。
それでも、変われなかった。
自分の感情を抑える事は出来ても、考えなくするという事は出来なかった。

だから私は人との干渉を避けるようになった。

そうすることでしか、方法が分からなかった。

今回の様な現状も変える力も勇気も、今も昔も私にはない。
そこで出しゃばって傷つくのは、いつだって自分なのだから。
これ以上傷つくくらいなら、黙って我慢して無理して笑っているほうがずっと楽だ。
これならば、誰も傷つかない。
これが自分にとっての最善策だ。

もう、くだらない感情に振り回されるのは疲れた。
何も事を起こさず平和に生きられれば、それでいい。
人と深く関わり過ぎるとろくなことがないということが、今までの人生で学んだことだ。

もう昔のような事になりたくない。


私は、このままでいい。
小学校の卒業式。
皆との別れ。
門出に涙する私に、彼女は笑顔でこう言った。

「本当はね、皆ゆかりちゃんの事嫌いだったんだよ。」

「皆我慢して言えなかったみたい。」

「でも、私は好きだからね。」

「中学でもよろしくね。」

その時、私は彼女を除いて全ての友人を失った。
私はショックから人間不信になり、信用できるのはただ一人、彼女だけになった。

「ねぇ、もっと明るくなりなよ」

ある日の部活中、彼女にそう言われ、私は言う通りに明るく振舞った。
全ては私のたった一人の友人が望む事だから。

そしてそれから数カ月後、私は同じ部活の同級生に階段下へと呼び出された。
呼び出された先には、彼女が待っていた。

そして彼女はいつもと変わらぬ、あの時と同じ笑顔でこう言った。

「ねぇ、そういうベタベタするのやめてくれない?」

「凄く、うざいんだけど。」

その日から、他の友人たちも私をあからさまに避けるようになった。
その時、私の中に卒業式での最後の言葉が蘇った。

―本当はね、皆ゆかりちゃんの事嫌いだったんだよ。

数日後、私は突然の激しい腹痛と嘔吐により、入院した。
理由は昔の病気の再発。
そしてその原因は…

「ストレス」

親と医者は「環境が変わった事が原因だろう」と言った。
私は、何も言わなかった。

退院後、私は薬の副作用により太りきっていた。
しかしそんなことは、その時の私にはどうでも良かった。

私は、全てを失ったのだ。

「生きる理由」すらも分からなくなった私は、親に隠れて学校をさぼり続けた。

そして同時に、自傷行為を繰り返すようになった。

いっその事、この世から消えてしまいたかった。


―それから、数年後。


私が何気なく買い物をしていた時だった。
一人の女性に後ろから声をかけられた。

「○○…ちゃん、だよね?」

その時の私は、さぞ酷い顔をしていただろう。
自分でも一瞬で血の気が引いたのが分かった。

「久しぶり!元気だった?私の事覚えてる?」

忘れるはずがない。

そう、その女性はまぎれもなく…

「彼女」だった。

彼女は何の躊躇いも無く、世間話を始めた。
まるで自分が私に何をしたかを全て忘れているかのようだった。
もし覚えていての行為だったとしても、彼女は私にとっては「災厄」でしかない。

しかし私は、拍子抜けしてしまった。
もし自分が彼女と再会したとして、もっと憤怒すると思っていた。
それはもう、殺意が湧くほどに。
それがどうしたことか、彼女のそのあっけらかんとした態度。
そしてあの頃と全く変わらない笑顔を見ていたら、何の感情も湧いてこなかった。

普通の会話を交わした後、彼女は何事も無かったかのように友人と去って行った。

ただ最後に、去っていく彼女の後姿があの頃のまま醜く太っていたのを見て、

私は少し笑顔で、

「様ぁ見ろ」

と、挨拶をした。



私は、今日も生きています。