半年前、思い切って5弦ベースを購入したものの、それからいろいろあって再び買い換えを検討せざるを得なくなった伯爵さん。一連の流れを鑑みて、やはり「初心者が単独で楽器を選ぶのは危険」という事実を思い知ったわけですが、そうは言ってもアドバイスもらえるような人が身近にいないから仕方がない。知恵袋とかで訊いたって役に立つ回答が返ってくるはずもないしな。

 それはともかく、今の楽器がこうなってしまった以上、反省点を生かした楽器選びをしなければいけません。今回はネックが残念なことになったので、やはりここを重視したいところ。前回も書いたとおり別に乱暴に扱っていたなんてことはないんですが、今回の件で木の楽器は自分が思っていた以上にデリケートなのを思い知りました。
 ベース歴の長い方には常識なんでしょうけど、恥ずかしながら、普段は楽器本体が環境の影響を受けることがほとんどない金管楽器であるトランペットをやってるもんですから、「木製の楽器は湿度や温度の影響を大きく受けるというのは、知識としてはあっても実感としてはわからなかったのですよね。

 そんなわけでネックについていろいろ調べてみたのですが、結論としてはどんなベースでも木である以上反るもんは反る。ただ、割り切った材料を使って割り切った加工をしている量産品は、やはりネックの弱いものが多いみたいですから、ここを気にするなら、やっぱりそれなりのグレードの楽器を選ぶ必要があると言うことですね。少なくともEB2013より高い値段は覚悟しなければいけない。

 で、「反るもんは反る」という前提に立つならば、万一反ったときのアフターサポートを考えると、日本のメーカーのほうが安心感があります(実際の生産国はともかく)。なんとなくですけど。お店の人も、よく知らない楽器より慣れた楽器のほうがノウハウはあるでしょうし。
 その辺も自分でできればいいんでしょうけど、まだまだそんなレベルではないので…。自分で楽器をいじるのは怖いですよ。もしやるなら4~5万くらいの楽器を買って、「いじる専用」にします。

 話を戻しますが、前回EB2013を買った時からさらに条件が追加となりました。まとめると以下の通り。

 ・5弦ベース
 ・パッシブ
 ・低弦のハイフレットに小指が届くこと
 ・デザイン(クワガタみたいなのはイヤ)
 ・ナチュラルカラー(EB2013のナチュラルカラーも気に入ってるので)←NEW
 ・予算は10万円以上、20万円以下(税込)←NEW
 ・国内ブランド(※ただし生産国は問わない)←NEW

 前回も下手くそな割に要求がシビアで、条件に合致する楽器を探すのに苦労したのに、そこからさらに要求増やして大丈夫なのかという気もしますが、調査を開始しました。

 案の定、この価格帯で国産の5弦ベースとなると、デザインがまったく好みでないIbanezかYAMAHAばかりで、かろうじて残ったのがバッカスのWOODLINE DX5のみでした。お値段以上の品質ブランドとして有名なところだし、アクティブベースですがパッシブにも切り替え可能、デザインも無難なスタンダードなジャズベースタイプ、ナチュラルカラーなので決して悪くはないのですが、いくら何でも一択というのはなぁ。

 というか、CrewsやMoonなどの評判の高い国内ブランドってだいたいハンドメイドなので、5弦ベースだと最低でも「税抜」で20万からのスタートなんですよね。逆にいえばいい楽器を手にするにはそのくらい出す必要があるってことなんでしょうが、こちらの予算は頑張っても税込20万までなので、さすがに厳しい。
 そうすると、多少条件を緩めて「メーカーは海外だけど日本国内で製造」のG&L Japan Premium L-2500のを候補に入れるしかないか…と思っていた矢先に、某店の決算セールで、Atelier ZのナチュラルカラーのBeta 5が税込199,800円で出ていたのを発見。

 マジか。普通なら安くても税込23万円後半くらいは出さないと買えない楽器だぞ。

 Atelier Zは日野賢二さんやRIZEのKenKenさんが使ってるメーカーだとか。日野さんはお父上がトランペッター日野皓正さんなので、名前くらいは知ってる。KenKenさんはMUSIC JAPANの公録で見たっけな。とんでもなく巧かった記憶がある。どちらかといえばスラップ向きのメーカーらしい。知識も素人ですまんな。

 実は今回も、ここAtelier Zが去年25周年の記念として限定で発売した、Z#2015というモデルの5弦版が19万円前後というお値段で売られていたので、それも少し気にはなっていたのですよね。
 アクティブ・パッシブの切り替えが可能でデザインも無難ながら、残念なことにナチュラルカラーがなくて、候補としては低かったのです(ヴィンテージナチュラルならありましたけど、加工してます感があまり好きじゃない)けど、その点、このBeta 5はいわゆるそのままのナチュラルカラー。デザインもちょっと大胆でかっこいい。

 Atelier Zのベースはネックが丈夫という評判ですし、そんな楽器が20万で買えるのであれば、一気に筆頭候補に躍り出ます。あとはどんな弾き心地かという1点のみ。

 幸い、そのお店は帰り道の途中にあるので、早速問合せして夜まで取り置きしてもらい、試奏させてもらいました。

 え、何これ、弾きやすい。

 試奏といってもテクニカルなフレーズとか超速パッセージなんてできるはずもない初心者なので、ちょこちょこ練習してる曲を遠慮がちに弾くくらいしかできないのですが、それでもなんかいつもよりスムーズに指が動く。スラップもちゃんといい音がするし、弦間ピッチも
 心配された「低弦のハイフレットに指が届くかどうか問題」も、さすがに24フレットあたりはそのままじゃ届かなかったものの、一般的なベースの上弦である20~21フレットあたりは問題なし。

 お店のスタッフさん(イケメン)も、「セールが終わったら普通に22万円で出すつもりですし、先月入荷したばかりで状態もいいですから、お買い得ですよ」と。本来なら予算オーバーだったバッチリ好みの楽器が、ギリギリ予算内に下りてきてくれてるところに、イケメンにそう言われちゃ、買うしかないじゃない。

 自分の腕前からすれば相当に過ぎた楽器だとは思いますが、それなら練習して楽器に見合う腕前になればいいのです。そういえば、トランペットもそこまで大した腕でもないのに、ヤマハで一番上のグレードの楽器使ってたわ。気にするだけ無駄だったわ。

 そんなわけでBeta5ちゃんお迎えとなりました。

Beta5