コーチの名和です。
野球の技術というと、長い歴史のある野球では、相当な数のものがあります。
これはピッチャーの技術、キャッチャーの技術、さらには内野手の技術、野手の技術、バッターの技術、ランナーの技術とそれぞれの立場において多くあり、時代と共に変わっているものもあります。
スポーツでは心・技・体を磨くといわれているように、体力、技術と心理的なものに分かれます。
野球に限らず、人が何か勝負をするとき、心理的なものにも大きく影響されます。
例えばそれは、厳しい状況におかれているのにもかかわらず、そうした事を顔に出さずに、相手の攻撃や行動には、何の効果もないと思わせて、相手を錯乱させることで、こうした事は心理的な駆け引きの一つともいえます。
野球では1打逆転のチャンスや塁が埋められているピンチなど、ドキドキして緊張する場面がよくあります。
昨日の練習で、スクールの中学生の選手のお父さんに報告を受けたのですが、全国大会の予選の試合で、終盤に追いつかれ1アウト満塁のサドンデスになったそうです。
その選手は1点リードのサドンデスからマウンドに上がり、ピッチャーゴロに仕留め本塁に投げればホームゲッツーだと誰もがホッとした瞬間、なんと本塁に悪送球を投げて2走者が帰って逆転負けをしたそうです。
このようなケースはバッターも緊張しますが、野手もかなりの緊張ですし、投手が一番緊張する場面です。
ピッチャーゴロの練習はイヤと言うほど練習したでしょう。
しかし、そんな緊張する場面を想定して練習したでしょうか?
私が社会人野球の選手だった頃、そのような身体が痺れて硬直するようなピンチを想定した練習を普段から強いられていました。
何が一番つらかったかというと、連帯責任でのペナルティがあるときです。
無死満塁というような場面を想定して無得点に抑えなければ守備側全員にペナルティを科される。
攻撃側は1点でも取れなければ攻撃側全員にペナルティを科される。
そのペナルティは腕立てだとかジャンプだとかそんな生やさしいものではなく、できれば二度としたくないという強烈なペナルティです。
そんなペナルティを科されて練習したとしても、試合の負けで失うものは計り知れないものがあります。
それまでの努力や時間、回りの応援などがありますが、エラーや、凡打でチャンスをつぶした当事者は一生その思い出は消えないかもしれません。
そのようなミスで野球をやめてしまう選手もいます。
誰もが固唾をのんで見守るような緊張する場面に、自分たちが望む結果を出そうとするときは、普段からそのようなケースを想定した練習が必要です。
そして、その時に起こったミスの1つも見過ごさず追求することです。
私が高校の時は、毎日のシートノックの時でさえ、ボールを捕り損なう、暴投を投げるというミスをすると、監督、コーチはもちろんですが、先輩や同級生から
「野球をやめろ、グランドから出て行け、家に帰れ」など厳しくしんらつな言葉が投げかけられます。
一番きついのは、
「お前のそのエラーで夏が終わるんだ!!」
という言葉です。
毎日の練習でもかなりのプレッシャーがありました。
下級生だと円形脱毛症になるくらいです。
普段、緊張しないでのびのびと練習してきたチームは、試合で緊張する場面になったとき浮き足立つでしょうね。
逆に普段の練習から緊張した場面を想定したり、チーム全員で緊張した雰囲気を作って訓練したチームは、そんな場面でも顔色も変えずに立ち向かえるのだと思います。
しかし、失敗は誰でもあります。
大切なのはその失敗をいつまでもうじうじと考えていることです。
愛工大名電野球部の元監督中村監督は
「いつまでも死んだ子の歳を数えていてもしょうがない。次は絶対に勝つぞ!!!」
と気持ちを切り替えさせてくれました。
よく言われるのは
「お前がやったそのミスは絶対に忘れるんじゃないぞ!」
「今回の負けを忘れることなく、次の試合に繋げていこう!」
などと言いますが、心理学的にはそんなミスはすぐに忘れなければいけないそうです。
でないと、同じような場面になったとき、過去の失敗がよみがえってきて頭の中は失敗のイメージで一杯になり、そのイメージどおりの失敗に繋がるそうです。
ミスは忘れていいんです。
勝負をするときは自分が望む結果だけをイメージしなければいけません。
普段の練習から緊張した場面を想定して心と体を慣らしておく、ミスはすぐ忘れる。
がんばりましょう。
心・技・体はここで鍛えられます。
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