今回は、「日本的な共依存」のお話しです。

 

ご家族か、親しいご友人などの

誰かに対して、

 

「 しっかりしてよ!!」

 

という言葉が出る場合に注目していただきたい。

 

「しっかりして!」

とか、

「しっかりしてよ!」

という言葉がつい出てしまう時というのは、

 

一見、相手の事を心配して、

思いやって言っている言葉のようですけれど、

 

この言葉の後ろには、

必ず、

自分自身への思いの言葉が

つながっているのです。

 

つまり、

「しっかりしてよ!

(あなたがしっかりしてくれないと

私も大変なのよ!)」

 

「しっかりしてよ!

(あなたの面倒をみている

私ももう限界に来ているのよ!)」

 

「しっかりしてよ!

 (そうでないと、世間体が私は恥ずかしくて、

私はあなたに付き合っていられない!)」

 

このように、

 

「しっかりしてよ!」

という言葉が口から出る場合というのは、

自分の方が心理的につらくなった時に

自分が相手に合わせて行くのが困難なので、

 

この言葉で相手を責めることにより、

自分が安心出来る価値観の行動規範に、

無理矢理に相手を従わせようとする時に

口から出る言葉が、

この

「しっかりしてよ!」

なのです。

 

この言葉からは、

相手の心情に対する思いやりは

ほとんど感じられません。

 

自分の辛さを相手の責任にして

ひたすら

自分の心情を相手にぶつけているだけです。

 

この言葉が口から出る時というのは、

相手がどんな行動や

言動をしようが関係ない人ではなく、

その行動や言動が

自分にも大きな影響を与えてしまう人です。

 

いわば、大切な人です。

 

その大切な人を、

無理矢理にでも

自分の価値観や行動規範に、

早急に従わせる圧力をかける時に、

それも、

原因や責任が全て相手にあることにして

相手のせいにして

従わせようとする時に、

 

人は、

「しっかりしてよ!」

という言葉を使いがちなのです。

 

この場合は、

相手の心情への配慮という面では、

自分の気持ちばかりが優先ですから、

ほとんどネグレクトですし、

 

相手との関係は、

お互いの行動に心理的にも依存し合っている

共依存の典型的なケースと言えましょう。

 

想像してみていただきたいのです。

普段から心配してくれている人から、

「しっかりしてください!」

と言われた時、

言われた人は、相手に対して、

 

もうこの人は、

心の複雑な部分を理解することを諦めて、

私が具体的にどう行動するかだけを

気にかけているだけなんだなぁ~、と

心の壁と距離を感じてしまうのです。

 

この言葉によって、

相手から突き放された気分になって、

もう一度心を開く気持ちには

ならなくなってしまうのです。

 

あなたにとって、

とても大切な人に対して、

「しっかりしてよ!」

という言葉が出てしまった時、

 

今回のこの記事を思い出して、

 

「ああ、私は、いつの間にか、

彼(彼女)の心情を

ネグレクトしてしまっていているんだ。」

 

という事に、気づいていく、

キッカケになっていただけたら幸いです。