今回からは、

「周囲に合わせなくても生きて行ける心を育む」

 

という観点から、

数回に渡って書いてみたいと思います。

 

そういうブログを書きたいと思った理由は、

前回の私のブログで書いたように、

 

これまでの日本の社会では、

あまりにも、

「周囲の人達と同じように生きられるように子供を育てる。」、

つまり、

「周囲の人達と同じことが出来る子供に育てる。」

という事ばかりが重視されて来た社会であったからです。

 

周囲の人達と同じような行動や言動や出来ていないと、

それが、大人であっても、子供であっても、

 

『あいつは、変わっている。』

『あいつは、変わり者だ。』

『あの子は、どこかおかしい、変な子供だ。』

 

というように、

 

「周囲と変わっていることが異常である。」

とされてしまい、

「周囲の人達と同じであることが、正常だ。」

 

とみなされて来たのが、これまでの日本の伝統でした。

 

このように、

子供から大人まで、

周囲の人達と同じ「均質性」ばかりが求められて来たのが、

これまでの日本の社会の特長でした。

 

日本の教育文化は、

何処を切っても同じ顔が出るお菓子の「金太郎飴」

のように、

「ステレオタイプだ。」

と言われるのは、このためです。

 

私達、人間の心の発育は、

生まれたての赤ちゃんの頃から幼少期にかけては、

お母さんの心の中に守られながら、

少しづつ自我が育って来ます。

 

最初の自我の目覚めとなる2歳の頃は、

「イヤイヤ期」と呼ばれ、

親が子供に言うことに対して、

 

何でも、「イヤだ。」、「イヤだ。」と言いながら、

自分の感じている事が、

親とは違う独自なものであることに目覚める時期です。

 

2歳の頃に、

こういう自我の目覚めがあることは、

日本だけなく、世界の子供に共通なので、

日本語での「イヤイヤ期」のことを、

英語圏では、「Devil Two (悪魔のような2歳期)」

とも呼んでいます。

 

第1次反抗期とも呼ばれる、

2歳頃の「イヤイヤ期」や「Devil Two」は、

親とは別個の個性を持った存在であることを

人生で初めて自覚する時期です。

 

従って、2歳頃に現れる、

この第一次反抗期は、

心の発育過程においては、

極めて健全な、とても健康的な姿なのです。

 

また、この時期というのは、

幼児は、2歳前後から一気に言葉沢山を覚え始めるので、

いろんな言葉を覚えることが面白くて楽しい子供の姿は、

 

親にしてみると、

子供が親の言う事を聞かなくなる時期でもあるので、

何処の家庭の親でも対応に苦慮する時期です。

 

しかし、これは、

心の発育面からみると

とても健康的な、

自我と個性の目覚めの時期なのです。

 

幼児の心が、

自我の目覚めの時期に、

四方八方に伸びて行こうとする時期に、

親の言うことを聞かなくなった子供への

対応に苦慮した親が、

幼児を強く叱りつけたり、

時には、体罰を加えることもあるので、

 

幼児は、自分が生き延びるために、

親から強く叱られることの多かった行動や興味を、

それ以上に進展させることを諦めます。

 

この様子は、

脳神経科学において、

生まれてすぐの時には、

四方八方に万遍無く伸びようとしていた、

脳の神経細胞とシナプスの「刈り込み」

という姿でも確認されています。

 

また、幼児から子供の時期にかけて、

強く怒られたり、

体罰などの怖い思いをした事は、

脳細胞同士のジョイント部分である、

「シナプス接続の部分の萎縮」となることが、

 

米国のハーバード大学の日本の福井大学との

共同研究によっても、今日明らかになっており、

日本語の本としても一般に出版されています。

 

このような認識が、

広く医学界でも知られた米国においては、

3歳児までに、

何らかの発達の遅れがみられた場合には、

 

米国の3歳児の小児科検診では、

遺伝的要素による発達の遅れよりも、

 

『まず最初に、親からのDVを疑う。』

という事が、

今日では通例となっているほどです。

 

子供の心の発育は、

幼児の頃には、

2歳以降もまだ母親の心の庇護の元で育ちますが、

 

9歳から18歳にかけての生理的現象でもある

第二次性徴期の「第二次反抗期」においては、

ちょうど、細胞が成長して細胞分裂するように、

 

それまでは、

母親の心の庇護の中で発育して来た子供の心が、

親の心からの、分離独立運動を開始するのです。

 

このように、

人の心の発育とは、

 

まず、2歳前後には、

親とは別個の存在であることの「自我の目覚め」が起こり、

 

その後の発育につれて、

女性の生理や男性の精通現象が始まる

第二次性徴期の第二次反抗期には、

 

親の心の庇護にあった状態からの

一個の人間としての分離独立運動が起こるのが、

最も健康的で健全な心の発育の姿なのです。

 

親とは別個の感じ方を自覚する

「イヤイヤ期」や、

親と別個の人格としての独立運動をする

「第二次反抗期」をしっかり経験することによって、

 

子供の心は、

親とは別個の感じ方を持つ独立した人格として、

自分の人生を生きて行くための、

心の地力をつけて行くことが出来るようになるのです。

 

 

こういう過程を踏んで行くことこそが、

健全で健康的な心の発達である、

という認識にしっかり立ってみると、

 

これまでの日本のように、

「周囲の人達と同じことが出来て、

周囲の人達と同じであることが『正常『』で、

周囲の人達と違うことが、『異常』である。」

 

として来た日本の社会こそ、

 

あまりにも、

『自我の目覚め』や

『独立した人格の成長』を

阻害して来た社会であり、

それが、これまでの日本の伝統であった、

ということに、私達は気がつきます。

 

このような、

ステレオタイプの文化的な枠組みが強要され、

個性や人格の発達が、

周囲からの文化的外圧によって阻害されると、

誰の心でも、生き続けることが苦しくなので、

 

自分の心を外圧から守るために、

不登校になったり、引きこもりになったりしますし、

 

外圧からの苦しさから

逃れるためや、

反発することで自分の心を守るために、

非行に走ったり、何かへの依存症になったりします。

 

嗜癖(アデイクション)の様々な症状や依存症の多くは、

このように、

2歳頃以来の、

健康的な心の発達が外圧によって阻害されたために、

 

心が充分な栄養を得られなかったという、

心の苦しさに由来するものである場合が、

実際には、とても多いのです。

 

 

日本においては、

ステレオタイプの均質的な文化を重視するあまり、

周囲と同じ行動がや言動が出来なければ、

 

すぐにそれを、

『病気のせい』にしてしまっている場合が

圧倒的に多いのですが、

 

実際には、

2歳前後以降の生活環境の外的圧力によって、

健康的で健全な心の発育が出来なくて、

 

文化的な圧力から、

心の発育が阻害されてしまっていたせいであることが

とても多いのだということを

 

この機会に、

是非、皆様にも知っていただきたい思います。