お得

 

よく精神科の診察時間が短いことが話題になる事があります。 反面カウンセリングは毎回50分などと予め時間の長さが設定されています。 5分で診察が終わってしまうなら10回でようやくカウンセリング1回分です。 毎回1500円の支払いなら、10回では15000円になります。 確かに時間も料金もカウンセリングの方がお得のように見えなくもありませんが果たしてそういうものなのでしょうか?

得かどうかの問題ではない。医師と臨床心理士は時間の長さでは比較できない別々な専門性を持っている

そんなに単純に比較できるものとは思っていませんし、お得かどうかで比較する性質の事でもないと思います。 仮に臨床心理士のカウンセリングに保険が効くようになったとしても精神科医の存在意義に変わりはないと思います。

 

それぞれ別な専門性を持っているのですから相補的な役割をお互いが果たしているのではないでしょうか。 精神科医がいなくなってしまったらこの分野は大変なことになってしまうと思います。

社会が抱く一般的な臨床心理士像

臨床心理士は医師の仕事の補助的役割であると考える人は少なくないと思います。 つまり、本来は医師にもっと時間の余裕があれば医師が直接行うことを臨床心理士が埋め合わせるようにしているという意味合いになります。

 

臨床心理士は精神科医の補助的存在が第一義なのか

精神科医のミニチュアが臨床心理士であるという認識です。 そういう面は医療機関においては特に少なからずあるのだと思いますが、本来の専門性の相違から考えるとそれだけの存在ではないと言えるでしょう。 

 

しかし一般のユーザーの方々から見た場合にも、臨床心理士の存在はそのように映っているの可能性があるのではないでしょうか。(両者の専門性の相違点については精神科医と臨床心理士の違いは、視点にあるをご参照下さい。) 臨床心理士には独自の専門性があるとはいいながらも、その専門的行為を続けて行くには(常にという事ではないにしても)精神科医の存在が必須になるとも感じています。 

 

昨今では公認心理師には医師の指示が必要であるとかそうでないとかの議論が巻き起こっています。現在の法律では、主治医がいる場合には公認心理師は医師の指示を受けることに決まりました。

 

専門家の責任とユーザーの利益

カウンセリングなどは特に1対1の性質が極めて高い専門的行為です。 訓練を受けた者が行うべきであるでしょう。そしてそこには専門家が背負う責任もあります。 時に臨床心理士は面接室に閉じこもり過ぎであるという批判を受けることもあります。とは言われてもそういう仕事であるのですから批判されても仕方のない面があります。

 

外では精神科医が日々診療している事を知っているからこそ、臨床心理士は目の前の人の事に徹することができているとも言えるのです。そういう頼もしさを精神科医に感じている臨床心理士は少なくないと思います。 また、必要な時には精神科医側も臨床心理士への紹介を検討しているのではないでしょうか。