パーティ | 本日も曇天雨天なり。こちら北国雨林地帯。

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隙あらば夢中で遊ぶカナダでの生活をつづります。

バンクーバー郊外で、14歳の少女が親のクレジットカードを使って豪邸をレンタルし、パーティをやったところ、警察が呼ばれるほど騒いで、損害は少なく見積もっても2万ドル、しかしお咎め無し、損害は親が払う、と「丸くおさまった」というのがニュースになった。

長女も14歳。親として何だか胸がザワザワする内容で、同い年の娘のいるお母さんからもオンラインの新聞記事が送られて来て、どうかしてるよねこれは、というメールをやり取りした。

その豪邸にはあっという間にティーンエイジャーが300人くらい集まって、ヴェーピング、ドラッグ、酒をやり、裏庭に面するデッキから家の中の家具が投げ落とされ、家中の額の中の絵はズタズタに(記事は誰かが撮ったビデオ付き)。実際の損害を出した子供は少数だったらしいが、誰も止める気も起こさなかったし「その頃にはみんなハイになってヨロヨロだったから」。

ちなみに、カナダでは未成年者の喫煙や飲酒は違法ではない。未成年者にそれらを販売することが違法である。だから、どうやって手に入れたかはいつも不明、だけどたしなんでも誰も罰さないわけで、子供達はやり放題である。車を運転する年齢に達していない子供達が集まるハウスパーティーであるから、親か誰かが(普通は親)送迎して実現しているパーティーであることには違いなく、ソーシャルメディアであっという間に人数が膨れ上がったにしても、どんちゃん騒ぎのパーティーに、総勢300人くらい、しかも子供が、簡単に集まっちゃったというわけ。

次女(11歳)の学校でも、学校主催のダンスが時々あるが、次女は一度行っただけで「もう行かなくていい」と言い出した。ベタベタしているカップルがあちこちにいて気持ちが悪いからだという。

長女は小学校のときにハサミを喉に突きつけられたし、しかも長女から聞くまで学校からは知らされず、こっちから乗り込んで教師と談判した。中学ではドラッグディーラーは普通にいるし、鉄パイプで殴って顎の骨を折るなどの警察沙汰もちょくちょくあり、誰かがゴミ箱に化学物質を混ぜてガスが出て火がついて全校生徒の緊急下校になったり。今長女の通う高校ではドラッグやヴェーピングが盛んで、学校からついに、ヴェーピングの器具を持っていたら則停学の連絡が出たが、長女に聞いたら「みんなそれでも平気で持ってくる」という。長女が昔体操で練習仲間だった子はヤク中。長女と同じ14歳である。母親のボーイフレンド経由で家にふんだんにあるらしい。

長女は、ヴェーピングをクラスメイトの男子がやっているのを見咎めて「学校から通達が出てるんだしやめたほうがいいよ」と言ったら逆に勧められ、「あたしがそんなことすると思ってんの?」とすごんだらそれっきりだったと言っていた。

どの世界にもドラッグや酒タバコをやる子供はいる。ただ、ここはあまりにも敷居が低すぎる。敷居を作る側が、敢えて高くする努力をしない。

手に入ってしまうこと以前に、子供が簡単に手を出せる土壌があり、それらに対する大人の倫理観が欠けていて、「寛容さ」にすげ替えられている。きちんとした倫理観とか価値観は、子供本人の判断に任せて良いものではなく、親や周囲の大人、学校教育、社会全体によって、子供が生まれ落ちたときから刷り込まれていくものだと思う。でも、ここでは、そのスタンダードを満たすのは面倒くさいから、表向きは寛容で子供を信じるという大人があまりにも多い。裏を返せば面倒くさいから、問題が起きても他人事。家で子供とすったもんだするより考えず放っておくのが楽なのだろう。

先述のハウスパーティーがお咎め無しで済んでしまうのだから、言わずもがな。