Ben Websterの後継者・Al Searsの魅力は豪快なサウンドそのもの。 | 続・公爵備忘録

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ジャズ・オリジナル盤の音質追及とエリントンの研究。

エリントン楽団でBen Websterの後釜に座ったAl Sears。

Ben Websterはエリントン楽団に在籍していたとき、『サックスの吹き方が分かった』と言うほどホッジスから学んで、その結果として、豪快なブローと抒情性豊かなサウンドという二面性を身につけた。

それに対してAl Searsは、豪快なサウンド一本を武器にして、グロウル・スタイルを貫いた点が個性的だった。エリントン楽団にフィットしていたかどうかは別にして。

Al Searsの吹奏は、Ben Websterよりさらにノドを鳴らして、バリトンみたいな低音まで出す。スイングジャズというよりも、リズム&ブルースに近い感じで、のちにホンカーとして名を成すのは自然な気がする。

ということで、彼らしさが良く出たレコードからご紹介したい。



ホッジスのリーダー盤だけど、タイトル曲のCatsle RockはAl Sears中心の演奏。

 


ノドを鳴らしながら強く吹き込むスタイルが良く出た演奏。Ben Websterを連想させるけれど、ホンカーとしての要素も感じさせる。




いかにもプレスティジらしいジャム・セッション。スイングジャズのプレイヤーたちの演奏をRVGの音で聴けるのが本盤の魅力だと思う。

数少ないTaft Jordanのソロが聴けるレコードでもある。エリントン楽団に在籍したトランペッターの中では、間違いなく技術的にNo.1の奏者なのに、エリントン以外の参加盤は非常に少なく、その点でも筆者にとっては貴重。

 


Al Searsの重低音の魅力を、RVGがさらに強化している。この音が聴きたくてたまに取り出す。




本盤はワンホーンなのでAl Searsの代表作みたいな感じ。でもわりと大人しい演奏で、RVGの音作りにも迫力が欠けている。

 

バラード中心で、ブリブリと吹くレコードを堪能したあとに、口直しするなら良いかもしれないけど、これからAl Searsを聴いてみようという人にはオススメしない。

 


最初に入手した盤(セカンド)はカゼヒキで、のちに買い直した。プレスティジは1963年前後に大量のカゼヒキ盤を出しているので、この頃のプレスは要注意。

カゼひき盤は大体ニアミント。聴くに堪えないから傷むほど再生されなかったわけで、盤質表記だけでは良し悪しは判らない。DUさんのセールではカゼヒキはちゃんと告知されているし、試聴もできるから心配ないけど、ネットで買うなら信用できる売り手か、返品可の売り手を選びましょう。




スイングジャズ時代に活躍した奏者に、モダンジャズのリズム陣を加えるという、プレスティジお得意のジャム・セッション的レコード。2枚組。

Al SearsとBuddy Tateの2テナーの9人編成バンドと、Coleman Hawkinsを中心とした9人編成のバンドの演奏なので、Al Searsの吹奏部分のウェイトは少ない。小編成のスイングジャズを楽しむレコードと言えましょう。




米KING原盤のEP2枚。この英Parlophone盤は入手しやすく、安いので盤質が良いのを選んで買えた。オリジナルのKING盤は1枚だけ持っている。



ドリルホールが盤の無音部分に開いているので、タダ同然のお値段だった。音溝を分断するように穴があるから、再生するのは恐くて出来ない。ジャケットさえあれば問題ないからいいけど。

本当に欲しかったのは米KINGの10吋盤で、EP2枚をカップリング(1枚のLPを2枚のEPに分割したのかも?)した内容のLP。ジャケットは写真のEPと似たようなデザイン。一度だけDUさんの店舗で見つけたことがあるけど、盤質Cランクで、とても聴けるような代物ではなかったので見送った。

ところが、20年以上経ってもそのKING10吋盤が見つからない。いつか見つけることが出来るかもしれないと、老後の楽しみにしている。

最後にオマケ。



黒ラベルのセカンド。新宿にあった某専門店ではオリジナル2万円だったのに、DUさんでセカンドは4千円。安さの誘惑に負けた。

このレコードの裏面に記載されたメンバーにはAl Searsの名前がないけど、ちゃんと参加しているし、ソロをとった曲もある。

Al Searsを聴くためのレコードではないけど、ホッジスのリーダー盤ではかなり出来が良いレコードなので、オマケとしてご紹介します。