Jon Eardleyという、奥ゆかしいトランペッター | 続・公爵備忘録

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ジャズ・オリジナル盤の音質追及とエリントンの研究。

出しゃばらず、控えめに軽やかに吹奏するJon Eardley。すい星のようにジャズシーンに登場して、Prestigeに録音し、チェットの後釜としてマリガンのバンドにも入った。

Jon Eardleyの初リーダー盤と2枚目。
 
New Jazz盤は耳あり、RVG刻印なし。メリハリの利いた良い音質で、雑音もなく、この時期のPrestige10吋が高い品質レベルにあることがわかる。
 
Prestige盤は耳あり、手彫りRVG刻印あり。トランペットにエコーが掛かっていて、RVGらしさのある音。本盤も雑音はなく、左のNew Jazz盤同様に良い。
 
2枚を12吋1枚にカップリングしたOJC盤は音が細くなっていて、きれいな音だけどガッツが失せた感じ。懐具合に余裕があるならオリジナルでお聴きになることをオススメしたい。
 
 
Phil Woodsのリーダー盤に客演した2枚

 

左はウッズの初リーダー盤10吋で、右は2枚目のリーダー盤。Introducing Jon Eardleyと、Featuring Jon Eardleyというタイトル通り、Eardleyが準主役。
 
Eardleyの演奏は自身のリーダー盤に近く、チェットを少し元気にしたような、ハツラツとした印象。
 
New Jazz盤、Prestige盤とも初期RVG刻印の特徴である小さな文字の手彫RVGで、耳マークはない。New Jazz盤はウッズのアルトにうっすらとエコーが掛けてあり、Prestige盤は全体にエコーが掛けてある。まだ50年代後半ほど極端なエコーではないものの、RVGらしさが出つつある時期のカッティングだと思う。
 
通常、赤銀(青銀も同様)にはバックノイズがあるのだが、この赤銀ラベルにはほとんどなく、黄黒ラベルのような品質。入手したときはこんなのもあるんだと驚いて、従来のPrestige10吋の印象が変わってしまった。

Prestige10吋で一番品質が良くないのは青・赤。次が青銀・赤銀、最後に出てきた黄黒が一番良い。これはPrestige10吋の品質が年々良くなったことを示していて、ボブ・ワインストックの向上心が表れていると思う。
 
 
Zoot Simsのリーダー盤に客演した2枚
 
Ducretet Thomsonは12吋の復刻盤。20数年前、これを入手したときの嬉しさが忘れられない。オリジナルはおろか、日本ディスク盤さえ幻で、聴きたくても聴けないレコードだった。
 
Club Francais盤は15年前に某廃盤店で、特等席に鎮座していたもの。通常の2倍もボーナスを貰って、自分へのご褒美として買った。そういう特別な事情がなければ、当時はサラリーマンに買えるようなお値段ではなかった。
 
この2枚のオリジナルは完全にコレクター向き。フツーのジャズファンは復刻盤で十分だと思います。さして良い音でもないので。
 
 
Jon Eardley Seven
このレコードはズートを集めていた頃に入手して、ズートを聴くものと位置づけていたけど、今はEardleyを聴く盤と思っている。
 
ただ、本盤はあんまり音が良くない。この時期のRVGは傑作録音を連発していた時期なんですけどね。でもそれがRVGの面白いところ。アタリに出会ったときは嬉しいし、ハズレたら次に期待する。筆者にとってRVG刻印盤は『名糖ホームラン・バー』みたいな存在です。