Libertyレーベルの面白さ | 続・公爵備忘録

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ジャズ・オリジナル盤の音質追及とエリントンの研究。

Libertyは音質の良さをウリにしていたようで、初期のレコード(ターコイズ、ミゾあり)はだいたい音が良い。それがプレスを重ねると少しづつ劣化していくように感じる。特に青ラベルはオリジナルでもかなりの確率でカゼひき。カゼ盤は聴き込まれないので、音ミゾは傷んでおらず、安くてキレイな場合が多いが、試聴してから購入判断する方がいい。

そうなってしまったのは、おそらくLibertyの経営危機に原因があると思う。1958年から59年にかけてLibertyはお金がショートした。その頃のレコードはほとんどカゼ盤。カゼひきの原因は剥離剤をケチったため、というのが通説だが、これはかなりマユツバ。でもお金がなかったことに由来するのは間違いないと思う。

60年代になって経営が立ち直り、以降のラベル(左端にレインボー、中央~右が黒)にはカゼ盤はなくなる。ただナゼか元の音の素晴しさが失せていて、オーディオ的には平凡になってしまった。

このあたりを見極めながら、何枚も買い替えて少しづつ良いものにして行く。それがコレクター的にはLibertyレーベルの面白さだと思う。



Julie Is Her Name
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Libertyレーベル最初の大ヒット作であり、Julie Londonのファーストアルバム。

最初に入手したレイタープレス(左がレインボー、右が黒、ミゾなし)でも音が良いと感じた。あとで入手したセカンド?(ターコイズラベル、ミゾなし)は一皮むけたような良い音質で、最後に入手した写真の完オリ(ターコイズラベル、ミゾあり、フラットディスク)は水も滴る高音質。Julie Londonのレコードでは音質的には飛び抜けてピカイチ。

黒ラベル・ミゾありのステレオも入手してみたが、モノラルではビシっと決まっていた音像がボヤける。モノラル・オリジナルが最良だと思う。ボーカル盤はオリジナルが一番いいという経験則が当てはまる。

お値段的には、左レインボー・ミゾなしは900円、ターコイズ・ミゾなしは2800円。完オリはさすがに5ケタだけど、アンプを買い替えるより遥かに安いです。オーディオマニアの方は是非とも完オリでどうぞ。





Rare But Welldone
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Jimmy Rowlesは大好きなピアニストの一人で、30数枚のリーダー盤をすべて集めたが決定盤といえるレコードがない。敢えて選べば本盤なのだが、やや地味で“華”がない。

共演者が出してくるフレーズや音に対して、当意即妙に返していくのがJimmy Rowlesの凄いところ。Jimmy Rowlesマニア向けなら、それが顕著なレコードを選べばいいのだが、そういうのはデュオが多く、超がつくほど地味。本盤は地味ながらもベース、ドラムスとの掛け合いにJimmy Rowlesらしい繊細さがあって、スイング感もあるところがいい。

筆者の入手価格は22000円でしたが、昨今の相場なら半値で、プチパチ音がなく、カゼひき盤のない盤が選べると思います。



My Foolish Heart
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Donna Fullerの人気盤。ハスキーボイスが好きな人には好盤なのでしょうね。個人的にはドスの効いたダミ声は苦手ですが、、、

好みの問題はさておき、本盤にはミゾがありません。でもこれはCapitolのプレスなのでミゾはなくて当然。Capitol12吋でミゾありは存在しないと思います。
(2018.9.23追記;カナダプレスにはミゾありがあります。念のため)

ところが同じCapitolプレスでも10吋はミゾあり・ミゾなしの両方があり、恐らくミゾありがオリジナル。それはこのレコードでわかります。
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Libertyではないレコードを載せて恐縮です。あくまでCapitolを説明するための例として挙げました。CapitolのScranton工場プレスのミゾあり盤です。

Helen Carrの有名盤で、DUさんのセールではミゾなしでもオリジナルと表記されていますが、恐らくミゾありがオリジナルです。

もし複数の工場でプレスされていれば、ミゾなしでもオリジナルと言えるかもしれませんが、RCAとかColumbiaならともかく、Bethlehemがそんな枚数をプレスしたとは考えられない。もしそうなら、ずっと多くオリジナルが存在しているはず。



Meg Miles
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見かけによらないダミ声。ジャケットのイメージとは乖離が激しい。

本盤も青ラベルはダメ。ターコイズをお探しください。



Jazz Hall of Fame Series/Barney Bigard
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スイング時代最強のクラリネット、Barney Bigardのリーダー盤は少なく、エリントン時代にはSP音源を編集したレコードはあるがLPは1枚もない。これはサッチモ時代に録音されたもの。

本盤は青ラベルが多く、ほとんどカゼひき。何回も泣かされた。ターコイズ盤を入手してやっと正常盤にたどり着きました。根気が必要なレコードです。