藤原コットン

藤原コットン

小説家•詩人。バンド。

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自分がどういう人間か、それはわかっていても、自分は何が得意なのか、それはなかなか判明しない。

今日とにかくいえることは、やはり迎合は敵だ、ということである。

しかし、いやいやながらも時代の要求を受け入れたり、好みではないものを自分に取り入れようとする人たちは沢山いるだろう。
それで成り立てばいいけれど、ぼくのような過程の者にとっては、迎合は手加減にほかならないのだ。この場合の執筆の苦労は、電車を待っている時の根気のようなものである。書けば文末に辿り着く。ただ、それだけである。

僕が専心すべきは、やはり美しさを求めることなのだろうか。
もしかしたら、僕は自分の精神の多様性を過信していたのかも。広くのことを描き出せると見積もっていたのだ。書けることはそう多くはない。ただそれが、広い感動を生むだけだ。

ノーベンバーズっちゅーバンドを聴いたけれど、つまらんかった。

バンドは、趣味的にみえるものだ。僕は趣味的作家にはみられないぞ。みられるものか。

レフトバンクのいとしのルネ、これのベースを弾いてみたら、ものすごいのなんの。
めちゃくちゃカンタンなのに、魔法みたいなメロディに聴こえるのだ。
なんてったって、8小節のメロは半音ずつ下がってくだけ! こんなカンタンなことでも、われわれの耳には古典的な重厚と優雅をあわせもつ調子に感じられて、バロックロックと評価されたのだ。

この半音さがってくだけの音楽は、なにかへの迎合だったのだろうか、楽をしようと思ったのだろうかと僕は考える。
いや、きっとそうではない。この半音さがってくだけのベース音を生かすために、曲の大部分を苦心してあわせたことだろう。
美の服従者、美の奴隷でなければならぬ。