水溜り -3ページ目

お菓子の家

大好きな人から与えられた甘いものだけで暮らせたら幸せかもしれないとおもう。

帰宅。

夜の新幹線は嫌い。


あたしは、今、職場が東京にあって家がそこにあるから東京に下りる。

でもぼうっと真っ暗な窓の外を眺めているとどこに下りたらいいのかわからなくなる。

きっと悩んでいるうちに終点についてしまうんだろうなと思ったら少し泣けた。


大人になると自分の居場所を自分で作らなくちゃならない。

自由は嬉しいけど、苦しい。

おくることば。

人と手をつなぐのが大嫌いだといったあたしの手を無理やりとって、

振り払おうとするあたしを力任せに抑えて、ぐんぐん引っ張って歩く。


切ないけど、悲しいけど、手をつなげば離れるときがくる。

おしまいまでちゃんと一緒にいれたかしら。どう思う?


あたしのもの。

ずっとあたしがほんとに求めてるのはセックス抜きの恋愛だったりする。


話は違うけど、いやちがわないけど、今あたしはかなり浮かれてる。

近々愛知にいる親友に会いに行くのです。一週間くらいかけて。

もう気分は遠距離恋愛の恋人に会いに行くみたいなかんじで、

どんな服着てこうか、行ったら何をしようか話そうか、バカみたいに浮かれてます。


男を追っかける性分のあたしは、二年前男の人を追っかけて東京に着て。

それ以来久々の再会です。


いやまてよ。あたしが求めてる恋愛って。コレでいいんじゃないか?と思うわけです。

セックス抜きの恋愛。いつでもどこにいてもつながってられるヒト。

追いかけなくても、不安にならない人。


うーん、日本に女同士で結婚できる制度があるとすれば、

今すぐにでも結婚したいのです。


どっちにしろ、最後に一緒にいるのは彼女だと心に決めているわけです。

メール

お互いにどこにいても誰と一緒に居ても何をしてても、

「好き」って思い立ったら送れるメールに感謝。


好きな気持ちはそのときに伝えないと消えちゃうものだから。


「す」と文字を打ったときに、

予測変換に「すき・大好き・好きだよ・」と並んだとき

あたしの愛もケータイと一緒にはぐくまれている感じがして、あったかくなる。

大学時代

「おまえ、変わってないなぁ」

「なにが?」

「甘いものくれる人がいい人だと思ってるところ」

「そうじゃん?実際」

「覚えてる?俺と初めて話したときのこと」

「覚えてない」


「一限の英語の講義にさ、遅れたんだよ、そんときオマエ一緒のバスに乗ってたの」

「そうだっけ?」

「そうそう。んで、ちょうど俺はイギリスから帰ってきた翌日でさ、お土産にチョコいっぱいもってて

 たまたまオマエとあったからあげたんだよ。したら急に愛想が良くなってさ・・・」

「あはは」


そういえば覚えてる。スニッカーズの変な果物味のやつをもらった。


「で、なんであなたはあたしにいきなりチョコあげる気になったわけ?」

「うーんと、いつもミニスカはいてるの見てたから」

「なにそれお礼?」

「そうそう。いい子だと思ってたから」


甘いものもらったのは嬉しかったけど、ごめんアレまずそうで捨てちゃった。


「どっちもどっちだね。あたしもうミニスカはいてないよ」

「大丈夫、いまでもかわいいから。俺はまた甘いもの買ってあげるよ」


うん。大学時代唯一の男友達はそう悪いもんでもない。

言うならば。

できるなら底抜けに明るい人がいい。

憂鬱になる理由なんて聞く必要はない。

ただ、くだらないことを言って笑わせてくれる人が欲しい。

卒業して二年。

毎日同じ時間に起きる。


きっかり5時。寝ぼけた頭で冷蔵庫を開け、飲むヨーグルトを飲む。

二度寝をして次に起きるのは、7時20分。目覚ましがなくても目が覚める。

軽くシャワーを浴びて7時40分、化粧が終わり髪を乾かし始めるのが7時50分。

8時10分にかるく朝食をとる。大抵ダイエット食品のシェイクを飲む。

8時20分。家を出て駅へ向かう。8時43分の電車に乗り、9時15分に会社に着く。


規則正しい同じ毎日。

一瞬見ただけで降りる駅はわかるようになり乗り過ごすこともなくなった。

ウォークマンを聞いていても、本を読んでいても、忘れることはない。


9時半、サーモマグに入れたコーヒーをすすりながらメールチェックを終え、朝礼が始まる。

学校嫌いでほとんど行かなかったあたしが、プレゼンをしたり人に仕事を教えたり意見したりする。


まったく、あたしは何をやっているんだろう。


恋愛至上主義

十代の頃からネットばかりしてきたあたしにとって、これはゲームのようなものだ。

顔をあわせたことのない、他の部の人とIPや内線電話で連絡を取る。
はじめのうちは丁寧な敬語をつかってキチンと仕事ができるところを見せて、
だんだんうちとけて、カワイイ面をみせるれば大抵、可愛がられる。


「あー、おつかれさまです。管理部の河野です」
「お疲れ様です。河野さん、えーと仕事の話以外にしてくださいね」
「なにいってるんですかー。もう。・・・ええと、あたしは昨日はお休みでダラダラしてましたよ」
「体調は良くなった?」
「おかげさまで。映画を見てきました。あれ、なんで体調悪かったの知ってるんですか?」
「声でわかりますよ。河野さん、今度ランチしませんか?」


あたしはびっくりして赤くなり、そこまで話したところで、回りの社員の人の
冷たい視線を感じて仕事の話もソコソコに電話を切り、今度はIPでの話にシフトする。


「かわいいなぁ、河野さんは」
「内線でランチとか言わないでくださいよー。恥ずかしい」
「そうですか?」


ランチに誘ったとき、彼はどんな表情だったんだろう、周りの人を気にしてたかな
それともいつもそんな風にいろいろ誘ってるんだろうか。

あたしは彼がどんなことをしているのか良く知らない。
でも、仕事をしていたら上手い具合に気を抜くのは当たり前なのだから、
彼が他で誰に声をかけてようが、どうでもいい。


肝心なのはあたしが彼をどこまで誘えるか、どこまで仕事から抜け出せるかなのだ。

社内で仕事以外のことがあればあたしはもうすこしここにいられると思う。



高校時代。青春時代。

「どうして大人ばかりと付き合ってきたの?」

「同級生と話が合わなかったの」

「なるほど。君はたぶん周りの子より賢いだろうからね」

「そうね」

「でも、周りよりも大人だったなら、周りの子に合わせたりすることもできただろうにね」

「うん、そうね。でもあたしはできなかったわ」


やっと思い出した。


「なんであんたは、あの子のこととか全部把握して今後の展開も読めてるのに上手く利用しないの?」


同じグループに居た女の子をあたしは論破してしまって、ちょうどその子が泣きながら

教室から逃げてしまったときのことだった。


「うーん。うまくいくのって楽しくないじゃない?」

「バカみたい。あたしにはわかんないよ」

「うん、そうだね。でもあたしはあなたが好きよ」


あの子元気かな?

高校時代に一番印象に残ったあの子。

優等生で、でも周りよりたぶんあたしより大人で、必死に高校生をしていたあの子。

果歩。大人なのに、同い年の彼氏が居た君がうらやましかったよ。