水溜り -2ページ目

真夜中の世界

あの夜は夢だったのかもしれない。

一日中待ったけどいつもと同じ毎日だった。

多分夢を見たんだ。


あたしのコールはどこにもつながらず

あたしのメールは闇に消えていく。

誰か

助けて。

堂々巡り

藁をも掴むみたいに手当たりしだいだ。

はずればかり。わかってるのに手は伸びる。

笑われるのはあたしかあの子か。


どうしてこう、安心させてくれないんだろう。

どうしてこう、不安ばかりついて回るのか。

振り向く

去年見たあの東京タワーはどこへいっちゃったんだろう。

一昨年過ごしたあの家はどこへいっちゃったんだろう。

二年前のあのリングはどこへいっちゃたんだろう。


あたしのことをかわいくてしょうがないといって笑ったあの人たちは

なんとなく

自分だけの秘密を抱えられることは大人の第一歩じゃないかとおもう。

してはいけないこと

自殺と告白は夜するべきでないとおもう。

あたしに限った話かもしれないけど。

家をひるがえせば、旅出の舟となる。

ヴォルフガング・ライプ展見たい。

東京タワー

仕事中、キーを打つ手をとめてぼおっと窓の外を見る。

窓ガラスの向こうに雨に濡れてすこし温度を感じる東京タワーが見える。

この職場で一番嬉しいことはいつでも間近に東京タワーがみれることだ。


逃走

思い切ったことはできなくても、ケータイをかえることはできる。


消えたメモリーの数。抹消したと思い込む過去。

忘れていく数々の経験と、覚えきれない人たち。


あたしは見えるものしか理解しない。

彼の知らないあたしの日常

「今何してたの」

「ん?ネットしてたかな。今は電話してるだけ」


さっきまで読んでいた本を閉じて、ベッドにごろんところがる。


今日起きた時間、食べたランチ、仕事が終わった時間、家についた時間。

聞かれたことの大抵あたしは嘘をつく。


一人の時間まで把握されてしまうのは狂気の沙汰だと思う。


「おたくだなぁ、またどうせ出会い系とかやってたんだろ?」

「そんなことないもん」


口に出したことが真実になり彼のなかのあたしが出来上がる。

とくに実際ほんとうのあたしとは違いがないのだから別に構わないでしょ?

真実を言ったところでなにもかわることはないとおもうけど、でもあたしは全く教える気は無い。


「早く会いたいね」

「うん。会いたい」


大事なことだけはキチンと答えるから。