堂々巡り
藁をも掴むみたいに手当たりしだいだ。
はずればかり。わかってるのに手は伸びる。
笑われるのはあたしかあの子か。
どうしてこう、安心させてくれないんだろう。
どうしてこう、 不安ばかりついて回るのか。
振り向く
去年見たあの東京タワーはどこへいっちゃったんだろう。
一昨年過ごしたあの家はどこへいっちゃったんだろう。
二年前のあのリングはどこへいっちゃたんだろう。
あたしのことをかわいくてしょうがないといって笑ったあの人たちは
彼の知らないあたしの日常
「今何してたの」
「ん?ネットしてたかな。今は電話してるだけ」
さっきまで読んでいた本を閉じて、ベッドにごろんところがる。
今日起きた時間、食べたランチ、仕事が終わった時間、家についた時間。
聞かれたことの大抵あたしは嘘をつく。
一人の時間まで把握されてしまうのは狂気の沙汰だと思う。
「おたくだなぁ、またどうせ出会い系とかやってたんだろ?」
「そんなことないもん」
口に出したことが真実になり彼のなかのあたしが出来上 がる。
とくに実際ほんとうのあたしとは違いがないのだから別に構わないでしょ?
真実を言ったところでなにもかわることはないとおもうけど、でもあたしは全く教える気は無い。
「早く会いたいね」
「うん。会いたい」
大事なことだけはキチンと答えるから。