cotasoさんのブログ -44ページ目

忘れないで

試着室から出ると

既に

会計が終わっていた



店の前で

タクシーを待つ



『松本さん…

プレゼントは

非常に嬉しいんですけど

高価過ぎるし

それに…

私には

不釣り合いです』



目線は車道に

向けたまま

彼が言う



『そんな事ないよ

本当に可愛かったから

買ったんだよ

ただ

さっき鏡に映った

自分の姿を忘れないでね』



どういう意味…?



聞き返そうとした時

丁度タクシーが

停まった

試着

裾が

チューリップの様な

綺麗なAラインを描く

薄いオレンジ色の

シルクのドレスを着て

試着室の

カーテンを開けた



『おぉ!

可愛い!

似合ってるよ!』



その横では

上品な店員さんが

上質の笑顔で

お似合いですよと

頷いている



この光景に

より一層

辱められる

価値

【着られてしまう】



川島さんの言葉が

頭をよぎった



こんな高級なドレスは

分不相応にも程がある



彼にそう伝えると



『似合う似合わないに

値段は関係ないよ

量販店の服だって

芸能人が着ていれば

勝手に高級品だって

意識で見るし

ここに並んでるドレスも

美奈子ちゃんが着れば

今の君の価値が

現れるんだよ』



だから

それが気が引けると

言っているのに