unstoppable | cotameba
手に汗握る、どころか、手汗でべっちゃべちゃ。

アンストッパブル





2011初映画館。
結構前に映画館で予告編を見て、これは面白いに違いない、と期待していた映画。
が、そんな期待は裏切られた。良い方に。いやいや期待以上。

宣伝では、「実話」を元に、というのをやたらと前面に押しているが、そんなことは半ばどうでもいいとさえ思えるほど、「映画」としてすばらしいと思った。実に映画らしい映画でとても観やすかった。

無人の貨物列車が暴走、一言で説明するならただそれだけの映画である。それをいかに面白くするかが作り手の腕の見せ所なんだが、これが最高に適度。主人公二人の関係、家族や抱えてる問題、社会科見学、積まれた貨物。1つ1つはどれもどこかで観たような設定だが、出し方だったり絡め方だったりが絶妙。自然にスッと入ってくるからクサいとは全く思わなかった。個人的に一番グッときたのは操車場に「たまたま」居合わせた「電車博士(と勝手に命名)」。登場する理由から役回りまで、うまい。おもわずニヤリ。

世界の車窓から』、という番組があるが、列車てのはホント「画」になる。ペンシルベニアの、まあたぶん田舎なんだろうが、森だったり工業地帯だったりを走る貨物列車の空撮、それだけでゾクゾクっとする。無骨なカッコよさ。ましてや暴走列車の迫力と言ったら、もう。「鉄」の方はもちろん、そうじゃない人にとっても映像の美しさと迫力は最大の見所で、これは是非映画館で観ることをオススメする。

スピード』の列車版、なんて言ってしまうと身も蓋もないが確かにそういう部分はある。が、ここは敢えて、似て非なるもの、そう断言しよう。なぜか。

『スピード』のキアヌ・リーヴスはSWATの隊員ていうスーパーな存在で、見るからにヒーロー的だった。一方この映画に登場するのはいずれも「普通の人」たちばかり。それもしがない。ただそれだけだとまあまだよくある話。私がいいなぁと思ったのは、彼らがプロフェッショナルなところだ。

「たまたま」コンビを組むことになって、「たまたま」事件に遭遇した二人がなぜ奮闘するのか。それは正義感からでもヒーローになりたいからでもなくて、「たまたま」いい方法を思いついたから。運転士歴二十何年の勘。どうせ何もしなくてもヤバイ状況なんだから、成功するかどうかなんて二の次。
できることを、する。
立場や見た目じゃなくて、そのプロ意識の高さがメチャクチャカッコイイ。私にはそう思えた。

デンゼル・ワシントンの表情がいい。若い頃は正義感がハミ出してる感じだったが、年とって渋みが出てきた。ダサカッコイイオッサンを好演。
他はほとんど知らない役者さんだったがみんな良かった。クリス・パインは迷える若者感がよく出てたし、操車場長役のロザリオ・ドーソンも素敵。ラストシーンは最高にイイ感じでこれだからもうアメリカ映画が好きなのだ。
「溶接工のネッド」、てのがいかがわしさといい存在感といい個人的には一番気に入ったキャラ。もっと使って欲しかった。切り替えポイントで言い合うシーンとか抜群。

一つ文句、というほどでもないが気になったのは、これは誰のせいとも言えないのだが、単位の問題。マイルとメートル・・・。文句言ってもしょうがないんだけど、a half mileが800 mだったり、時速20 mileが32 kmだったり、キリ悪すぎで違和感ありあり。多少の厳密さは目をつぶってキリのいい数字に置き換えちゃってもいいような気もする。それでも映像と字幕の数字が合わなかったりするから難しさは残るんだけど。

いい映画は「いつ」「どこで」がスッと入ってくるものだが、この映画もその条件を満たしてる。全然知らない街なのに、距離感やタイムリミットがよくわかるようになってて、それが緊迫感につながってる。私はかなり面白い映画でも上映中1回くらいは時計に目がいくのだが、今回時間は全く気にならなかった。タイトル通り、まさにunstoppableで、ぐいぐい引っ張ってくれた。

新年1発目からとてもいい映画に出会えて幸せだが、そのせいで他が大したことないように思えてしまったらどうしよう。