ちょっと前にTVで放送されたのを録画しといたやつ.
[注意!] 結構内容に触れます.
映像と役者さんの芝居は素晴らしいんだが,脚本がなぁ・・・.
まず映像.
CGを使っていないらしい.この予備知識があるせいか,さすがに迫力があった.やっぱり映画館で観るべきだったか.
公開時の宣伝番組で監督さんが,「苦労して撮ったのに,『よくできたCGですね』なんて言われてがっかりした」みたいなことを言っていたが,実際に観てこの意味がよくわかった.山の上での夕日のシーンとか,確かに嘘臭い.
実生活でも,よく晴れた日の空とかを見ると,嘘臭いなぁと思うことがある.この感覚.実物が必ずしもリアリティがあるとは限らない.
いずれにしてもこの圧倒的な映像美だけでも,この映画を観る価値はあるだろう.
出演は日本映画を代表すると言ってもいいくらい豪華な俳優陣.
特に香川照之さんはいつも思うが素晴らしい.出てきた瞬間から役の人柄が伝わってくる.「龍馬伝」では大量の鳥カゴを背負っているが,この映画でも巨大な登山グッズを背負っている.この姿がなんともよく似合う.今,「大荷物を背負う俳優」ナンバーワンだろう.
役所広司さんはちょっとしか出てこないが,「役所広司」だ.妙な安心感がある.
あおいちゃんは相変わらず何をやってもかわいい.ほとんど反則だ.
さて良かったところはここまで.以下はイマイチだったところだ.
セリフが説明的すぎる.例えば陸軍のシーンとか.役者さんの演技力でカバーできている部分もあるが,それでも気になってしまった.話の進め方がちょっと強引.もうちょっと何とかならなかったのか.
その割にはよくわからない部分もあった (TV放送でシーンがカットされてる?からかもしれない).どこをどう登っていくのかとか,どこがしんどい箇所なのかとか,測量の方法とか,何となくは分かるんだが,もうちょっと詳しく教えて欲しいと感じた.観ててモヤモヤしてくるのだ.それこそCGで説明してくれたらよかったのに.このあたりは原作読めば分かるのかな,とも思った.
半分くらいで,ああ,「日本映画」だなぁ,と感じた.うまく説明できないんけど,松田龍平さんの役回りなんかは象徴的だと思う.
まず登場のシーンで,あーこいつ死ぬんだろうな,と思う.
そしたら雪崩にあって,みんな埋まるんだけど,最後に救出される.おー,ここじゃないのね.
さらに無茶して崖から激しく落ちる.
ここか.やっぱり.
と思ったら怪我しただけで助かっちゃうのだ.ええーっ!
ハリウッド映画だったら,まず間違いなく死ぬ.妻ともうすぐ生まれる子供の話は伏線で,後で浅野忠信が遺品届けたりしてひと泣かせ.という展開.
には全くならない.怪我が治って,娘が生まれて,おれも父親になったからがんばります,となってこの彼の話は落着してしまうのだ.結局妻と娘は話だけで実際には全く出てこない.なんともモヤモヤするではないか.
それと仲村トオル率いる日本山岳会.
この明治の時代に趣味で登山をしているチャラチャラした連中.西洋かぶれのキザでイヤミな奴ら.
どっちが先に剱岳を制するのか,的なライバル関係.の割には見せ場がほとんどない.
測量中の浅野忠信にビスケットくれるあたりから,ただの良い人たちオーラが出始める.あれおかしいぞ.
そして最終的には超良い人たちで終わる.もうちょっと悪い奴らで通してくれー,とここでもモヤモヤ.(その代わり,というわけでもないだろうが,陸軍は最後まで悪役)
繰り返しになるが,この映画は良い意味でも悪い意味でも,古き良き「日本映画」だと思った.
そして,メイキングをドキュメンタリー映画にした方がずっと面白かっただろうなぁ,と強く思う.
