通り魔とおまわりさん | cotameba

最近現実に起こった,ちょっとかなしい話. 

 

 

3週間くらい前.

新宿で本屋にでも行こうと思い,東口の地下のあたりを歩いていると,

丸ノ内線の改札のあたりで,左後方から,

 

「ちょっとすいません」

 

という声.

最初は声掛けられてんのは自分じゃないと思い無視するも,肩を叩かれ再び「すいません」.

 

ぱっと見上げると,さっと前方に立ちふさがる男の影.

 

おーなんと,制服の警察官さんじゃないですか.

何でしょう?

 

「最近,通り魔とか多いですよね?」

 

ええ,物騒ですよね.

 

「私新宿駅周辺で,いろんな人に声掛けてるんですけど,ちょっと荷物拝見させてもらってよろしいでしょうか?」

 

うんまあ,やましいこと何にもないし,いいですよ.

リュックを渡す.

 

私のリュックは,大小合わせて3つほどチャックがある.

すべてを開けてがさごそと中身を確認するおまわりさん.

かばんの中身きたね―おれ.恥ずかしいし申し訳ない.

 

ちなみに時間は18時頃.

会社帰りのOLさんやらサラリーマンやらが,こっちちらちら見てる.

あーこれ完璧に怪しい男を職務質問するの図じゃん.

こっちのが恥ずかしいじゃん.

私全然怪しくないんですよ.

 

ようやく荷物チェックが終わったおまわりさん.

今度は私のポケットを指差し,

 

「これ,財布と携帯ですか?」

 

ええそうですけど?

 

「ちょっと出してもらっていいですか?」

 

まあいいですけど?

てか拒否できないだろそんなもん.

ポケットの中身をすべて出す私.

いちいち確認するおまわりさん.

ポケットの中身もきたねーおれ.

もちろん,怪しいもの,危ないものは一つもない.

 

「いやどうもありがとうございました」

 

どうやら私の容疑(?)は晴れたみたいですね.

 

「今だから言いますけど,ちょっと挙動というか,目つきが怪しかったもんで,声お掛けしました」

 

はい?

 

「なんか道に迷われてたんですか?それとも急がれてたんですか?」

 

何言ってんだこの人は?

と思ったものの,

 

「ちょっと急いでました」

 

と言ってしまった私.あーなんだこの敗北感は.

別に急いでねーし迷ってもねー.

てか今だから言ってんじゃねー.

目つきが怪しくて悪かったな.

と思ったものの,

 

「ご苦労様です」

 

と言って立ち去りました.2連敗.

 

こんな形で,最近世間を騒がす一連の通り魔事件に巻き込まれるとは.無念だ.

実際に巻き込まれるよりははるかにマシだが.

 

この日は髪を切って,新しい眼鏡も注文しに行って,ちょっとテンション上がってたのになー.

あー,好事魔多し.

 

ちなみに私のこの日のいでたちは,Tシャツにジーンズ,黒いリュック.

Tシャツは韓国で買った,スーパーマンのマークがでっかく書いてあるやつ.ニセモノ.

見ようによっては,たしかにまあ何というか,秋葉原にいかにもいそうな,そっち系の格好だったわけだ.

 

声をかけて調べるのはいいんだが,本当にランダムに「いろんな人」に声をかけて欲しい.

見た目で判断してくれるな.

 

かといっておまわりさんの行動は全くもって正しい.とも私は思うわけだ.

それがおまわりさんの仕事なのだから.

とても大事な仕事だと思う.

だから私も今だから言うが,ご苦労様ですと言ったのは半分本心.

 

 

 

じゃあどうしたらいいのか?

本当にランダムに,怪しい人を探す方法.

めちゃめちゃ矛盾してるがまとめるとこうなる.

 

こういうのはどうだろう.

たとえば駅の改札なんかで,何番目かに通った人を毎日調べる.

たまたま当たっちゃった人はめちゃくちゃ運悪いが,こういうことをやりますよということをちゃんと宣伝しておけば問題ないだろう.

何番かはもちろんヒミツ.定期的に番号を変えればなおいい.

 

通行人にあらぬ誤解を招くこともない.

「あー例のあれか.かわいそうに」

くらいにしか思わないだろう.

裁判員制度だって似たようなもんだろう.立場は全く逆だが.

 

 

 

こんなんで通り魔は防げるわけがない.と思う人がいるだろう.

自分で提案しといて何だが,たぶん無理だと私も思う.

 

ただ多少の抑止力にはなるのではないか.

どこまで本気で取り締まるかだ.

 

なんらかの対策をとるとしたとき,どれくらいの規模でやるのかという問題.

どれくらいの頻度で調べるか,これは何人くらいのおまわりさんを投入するのかということとも関わってくるだろう.

そもそも上に挙げたようなシステムが現実的にどこまで可能か,ということについて私は全く見当がつかない.

 

 

 

と,こんなことを考えていたら,ちょっと別のことを思いついた.

 

そもそも誰が通り魔になりそうかなんてどうやってもわからん.

「マイノリティ・リポート」じゃあるまいし.

 

じゃあおまわりさんは無力か?

いや,そんなことはない.

 

抑止力.

 

あー,なるほどそういうことか.

どーゆうこと?

つまりこういうことだ.

 

私がおまわりさんから尋問される.

それを見た会社帰りのOLさんは,

「あーやだやだ.物騒ね」

などと思ってることだろう.

だがもし仮に,これから通り魔をやろうとしてる人が私を見たらどうか.

「やべ,今ナイフ持ってこんなとこウロウロしてたら,捕まっちゃうよ」

と思うかもしれない.

そして,

「今日のところはとりあえずさっさと帰って,あのドラマの続きでも見よう.通り魔は明日にしとこう」

と思うかもしれない.

そしてそして,帰って家でドラマを見たら,

「あー面白かった.何か通り魔とかどうでもよくなってきちゃったなー.

てか通り魔やって捕まったら,このドラマの続き見れなくなっちゃうじゃん.

やめとこう,通り魔」

となるかもしれない.

 

 
 

私はこう思うことにした.

私のことを見て怪しいと思ったOLさん,あなたは私が尋問されていなかったら,その数分後に刺されて死んでいたかも知れないのです.

つまり私があなたを助けたのです.

 

正確には助けたのはおまわりさんだが,こういう風に考えとけば,誰も不幸にならないじゃないか.

 

抑止力すげー.

ん?でも待てよ.

どっかの国は抑止力とか言って,他国を空爆しちゃうんだったよな.

空爆された人たちがおんなじような気持になれるか.

なれるわけないだろう.

するとちょっと抑止力も考えもんだな.

これも程度の問題なんだろう.

今はとにかく通り魔の話だ.

 

抑止力がすごいかどうかは別にして,おまわりさんはすごい.

職質にはそういう意味があったのね.

 

よしもうみんないっそこうしよう.

みんなどんどんおまわりさんに職質されよう.

時には自ら,率先していこう.

「おまわりさん,私の荷物調べてください」みたいな感じで.

そうやって社会を守ろう.

 

そこまでいくと完全に頭のおかしいやつで逆に怪しいが,

まあそうこうしてるうちに,きっと「マイノリティ・リポート」みたいなシステムが構築されて,みんな平和に暮らせる日がくるよきっと.

 

あ,でも,あの映画って結局アレはアレでまずいみたいな話だったような・・・.

 

あーもう何が何だかよくわかんなくなってきたな.

結局私が言いたかったことをまとめるとこういうことだ.

 

通り魔をやろうとしてたみなさん,そんなバカなことはやめて,家に帰って「マイノリティ・リポート」を見ましょう.

やめとこうかなという気になるくらいには面白いですよきっと.