毎度ながら久々のブログ投稿です。
さて、先日12月6日と9日に自主企画コンサート、『深川甫プロデュース 室内楽コンサートシリーズVol.2 WAO弦楽四重奏団–九州ツアー』の全日程を無事終えることができました。沢山の御来場を賜りありがとうございました。そして開催までに情報掲載や取材などを含め多くの方々の御尽力を頂き、地域の優しさに触れ感謝の思いでいっぱいです。
この場をお借りして御礼申し上げます。
このコンサートは、地元のこれからの音楽文化発展を鑑み、微力ながら自分自身が今何ができるかというところで企画したシリーズ第2弾です。
日常生活圏内で一流プロによる本物の音・音楽を知ってもらえる機会、楽しむ機会を社会に提案することで、クラシック音楽を日常的に身近に楽しむきっかけになればというところです。
一言で地方と言っても状況は様々ですが、佐賀は在住プロ奏者が少なく、楽器によっては在住プロ奏者が0という状況が今も存在しています。
佐賀に居を移し1年半程ですが、音楽環境も都市部と地方の格差がまだまだ大きいと実感する場面もあります。
人材の育成や流動性が決して活発とはいえない印象を抱くことも多く、(日本の都市部でみられる形が最良ということはありませんし、同じ形を目指す考えではありません。)またプロ・アマが境目なく混在する状況であり、この事に起因するであろう問題点も見えてきました。(当然ですがどちらかが、あるいは誰が悪いなどいう類の話ではありません。)
個人的な話になりますが、私が室内楽に出会ったのは音楽大学進学で上京した後のことでした。当時地元ではピアノのコンサートやオーケストラなど特定の分野では世界クラスの奏者による演奏を聴く機会も当然ありましたが、室内楽に触れる事はなく、存在すら知らなかったことに上京後愕然としました。もっと早く知りたかったとも思いました(様々な名曲が沢山あることを知り、その魅力に触れてからは室内楽が大好きになりました。)
当時の自分は日常の環境が社会の全てであり、外のことについてあまりに無知・無関心だったということです。
当時はインターネットも発展途上、自身も親もパソコンすら所有していない環境で、今に比べ情報はとても限られ、テレビかコンサート以外で演奏を目にすることはない時代でした。街以外の音楽を知ることができた主な手段はテレビ、そしてラジオくらいでした。ほんの20年前くらいの話です。
今は場所を問わずYouTubeをはじめ、様々な情報源があり大変便利ですが、時差なく新しい情報が簡単に入るというのは昔では考えられなかったことです。
今、その恩恵に預かり佐賀に住みながら色んな仕事ができているのは、インターネットと空港の存在のおかげと言っても過言でないくらい重要なものになっています。
上記のような自身の経験と現状を踏まえ、今後長い目でみた時に、将来の種になり得る活動を微力ながらやっていくことはプロとしての責任と在住である価値であろうと思い至り、自主企画を改めて昨年からスタートさせました。
これまで音楽界をリードしてきた、あるいは今まさに第一線で活躍している演奏家達と出会えたこと、そして音楽づくりを共にできる時間を通じて彼・彼女らの感性や生き方に触れられたことが、今の自分の価値基準の礎になっています。
曲書きとして音楽家としてこれ以上ない幸運だろうと思います。
(地方に移り住んでからも変わらずお付き合いが継続していること、今年も新たに素晴らしい音楽家と音楽を共にできたことに感謝の気持ちしかありません。)
今回のWAO弦楽四重奏団と共に過ごしたの時間はまさにそれを実感する時間であり、楽しくも刺激ある嬉しい数日でした。
本番前日はみんなで楽しく飲み、夜中まで話に花が咲きました。
佐賀で一緒に飲めるとは!!
企画して良かった!!
6日(金)佐賀公演・本番の様子。沢山のお客様にお越しいただきホッとしました。
浪漫座の角田さんはじめ皆様ありがとうございました!
9日(月)福岡公演・リハーサル中
イズタ・バイオリンの皆様、準備から当日の諸々まで本当にお世話になりました!
本番後打ち上げ。
WAO弦楽四重奏団メンバー
お世話になったイズタ・バイオリンの田中さんも共に。
自作曲も初演メンバーの手で、地元で再演できるというのは本当に贅沢で貴重なものでした。
初演の楽譜から今回をきっかけに見直し、修正変更も施してより良い形にする事ができたことも個人的には良い機会でした。
(おそらく、今残る名曲達もこういうプロセスが繰り返されてきたのだろうなと想像します)
演奏も手探りが当然の初演から時間を経て、今回更に理解が深まり成熟したものになっていたことは、4人が関東で事前に作ってくれたテンポ設定やメロディの捉え方、響きの充実度などからも明らかでした。私としても新たな発見であったと同時に何物にも代え難い喜びでもありました。また改めて第2番を書くモチベーションにもなりました。
時間をかけ緻密に音楽を作ってくれたWAO弦楽四重奏団には頭があがりません。本当にありがとうございました!!
そして今後もこの室内楽シリーズが、徐々にでも地域からの評価を得られ定着することを一つの目標として継続できるよう頑張って参りたいと思います。
深川 甫