昔見た映画に『二百三高地』という映画がありました。
日露戦争における旅順攻囲戦を描いた映画で、その主題歌がさだまさしさんの『防人の詩』です。
『防人の詩』の歌詩の中に次のような一節があります。
♪~私は時折苦しみについて考えます
誰もが等しく抱いた悲しみについて
生きる苦しみと 老いてゆく悲しみと
病いの苦しみと 死にゆく悲しみと
現在の自分と~♪
「生きる苦しみ」
「老いてゆく悲しみ」
「病いの苦しみ」
「死にゆく悲しみ」
これは生老病死の苦しみです。
「四聖諦(ししょうたい)」という仏教の教えがありますが、その一つ「苦諦(くたい)」で説いているのが、四苦、つまり生老病死の苦しみです。
人が避けることのできない、この世での四つの苦しみがあるというのです。
さらに、よく使う言葉で四苦八苦するなどという言葉がありますが、これも本来は仏語で、生老病死に次の四つを加えたものを八苦と言います。
愛別離苦(あいべつりく):愛する者と別れる苦しみ
怨憎会苦(おんぞうえく):憎んでいる人に会う苦しみ
求不得苦(ぐふとくく):求めているものが得られない苦しみ
五蘊盛苦(ごうんじょうく):体や感情、考えることがあることによる苦しみ
このように「人生は苦である」と仏教では説いています。
なんとも無常観に満ちていて、はかなさを感じてしまいますが、「人生は苦」と説くことで、人生の現実というものを伝えているのです。
これは、医者が病人にその病気が何であるかを伝えているようなものです。
映画『二百三高地』の中で流れる『防人の詩』。
その絶唱に感じる人の世のはかなさ。
この歌が私の心の琴線に触れるのは、歌の根底に流れるその生老病死の無常観ゆえかもしれません。


