業績が低迷してくると目ざとい社員は次の転職先を探し出す。

幹部社員のAも最近動き回っているらしいとの情報が入った。

得意先の社長がスポンサーになって会社を立ち上げると言う。

後継者として考えていた人物だ。

誰かが間違いなく入れ知恵をしているとわかった。

この状況で会社を辞められると手がまわらない。



ついに辞表がでた。

辞めてどうするんだ。

会社を立ち上げます。

そうか。

ご苦労だった。

今まで頑張ってくれてありがとう。

かろうじてその場を取り繕ったが。



辞めて1週間後、得意先から電話が殺到した。

お宅の営業部長が新しく会社を立ち上げたので取引をしてくれときたよ。

なんと。

会社の内部事情を熟知しているAは手当たり次第に会社の顧客をあたっているらしい。


今の会社は私が15年前に立ち上げた会社だったが、Aは創業間もない頃、勤めていた会社が

倒産したので雇ってくださいと飛び込んできた人間だった。

当時には珍しい実直で根性のある男だった。


かなりショックを受けたが、人は生き方がそれぞれだから自分で経験していろいろ学んでいくしかない。

正道をはずした独立は必ずどこかでつまづきがやってくる。

一番手っ取り早いようだが、一番危険な独立の仕方だ。

小さくてもコツコツ積み上げていく中で、自分なりのスタイルを築いていってほしかったのだが。



ともあれ、離脱者がでる可能性も否定できない。

ここはしっかりとしなければ。

次から次と押し寄せる困難。

事業とは次々と押し寄せる困難を解決していくこと。

必要として与えられる試練なら、それを真摯に受け止めそこから何かを学ばなくては。

乗り越えられない壁は絶対にない。

自分次第だ。




これはその当時の自分の日記だが、幹部社員の裏切りというのは

どこの会社でもありうることである。

できる社員であればあるほど。

上記の例に対処するには、予め誓約書で競合避止義務をうたって

おくことである。

同じ業界での起業に関し、ルールを設けておくのである。

特に売上関係は企業の存続にかかわるので、営業部長など

重要なポストにある社員に関しては手を打っておいたほうがよい。

また、優秀な社員は辞めるときが必ず来ると心に定めて

経営をする。

治にいて乱を忘れると必ず足元をすくわれる。

すべて社長の責任だ。

言い訳は通用しない。

コスナー