台風の日。



傘を差してるのに、小雨が中で降ってました(iДi)

道路1cmくらいまで水浸し。

ペタンコ靴もパーカーもびしょびしょ。

そしてそんな日に限って遠回りをして家路に着く私。



誰かと

一緒に


「歩いた?」


歩いた


思い出。

回想すたーと。







バスで後輩と電話。

「でさー、もう私、超心細いわけで、

学校じゃあ誰も日本語喋ってくれないのよぅ。

しかも毎日塾だから家にいて起きてる時間は4時間。

そのなかに朝ごはんとか着替えとか夜ご飯が入ってる訳だから、

実質上ほぼ時間ないわ」


「まあかわいそうですこと」

上品に微笑んでいるであろう後輩の声。


「そうね。あ、そろそろ降りる準備しなくちゃ、

ごめん切るね」


自分の降りるバス停が近づいてきて、

私はぐちゃぐちゃなかばんの中を整理し始める。

教科書にサンドイッチされたツナマヨみたいにしわしわの

プリントをピンと張って、ファイルに収納。


「ねえ」


隣りに座っていた男子が唐突に声を掛けてきました。


「は、はいっ」


慌てて返事をしたため、声が裏返ってロリ声のなり損ないみたいに

聞こえただろう、男子はくすりと笑って、


「日本語ずっと喋ってたけど、制服は××高だよね。

俺さあ、そこ入りたかったんだけどさ」


これがナンパというものか、それともただ好奇心で話しかけてきてるのか、

脳内で自問自答したが、とりあえず無表情をキープした。

お年寄りに道を聞かれること以外ほとんど経験のない私は、

警戒心を丸出しにしていたと思う。


「あ、身構えなくていいよ。別に怪しい人じゃないし」


そういう人に限って怪しい。

漫画にあったようなセリフを主人公気取りで小さく呟いた。


「はは、君って面白いよね、さっきまで笑顔で笑ってたのに、

今は機嫌を損ねたような顔。


あ、俺、学校で第二外国語で日本語やってるの。

ねぇ、君の学校にもあるでしょ、日本語の授業。必修教科?」


答えるのを躊躇ってると少し鋭く話を続けられた。


「名門校だけど、それなりにアニメとか好きな人、いないの?

俺の友達もその学校なんだけど、漫画研究部だよ?」


漫画研究部に親しくしている女子がいたし、

なにより台湾の制服には学校とクラス或いは学号という

その人のクラスと学年と出席番号をまとめた様な数字が

刺繍でしてあり、学校によっては自分の名前さえ刺繍しなくてはならないので、

返事する前に男子の胸元をみ、学校と名前を確認した。



そして―――

ここから始まる会話が小説として広まるなんて、

その時の私には想像すらできなかった。

つづく。(場合によりけり←w