平野啓一郎著「ある男」に続いて「本心」を読んだ

これも長編で文章の中に惹き込まれてしまうと読み進めたり戻ったりが忙しく中々前に進まないので読了が遅くなってしまった。

 

 

格差が拡大し、メタバースが日常化した2040年代の日本が舞台。

丁度読み終わって「本心」の世界に想いを巡らせていた時にネット記事で『死んだ人をAIを動かすデジタル蘇生が中国で話題!誰もが「死せる孔明生ける仲達を走らす」時代に!?』(山谷剛 編集 。as lill  より抜粋)

本当にビックリした!

 

主人公朔也が唯一の家族である母親を亡くし、頭で死を理解してても孤独と母を恋しく思う生活に希望を見出すことが出来なくなり、解決策として母親のVF(バーチャルフィギア)の製作依頼をした。

そして母が生前に「もう十分に生きたから」と望んで遺した言葉「自由死」。

朔也は母親の「本心」がどうしても知りたかった。

 

2040年代の世界を体感する事は難しそうな微妙な年代の夫と私だけど、バーチャルと現実の世界に生きる主人公の純粋で優しさに溢れる姿に心打たれた。

 

夫とよく映画を観に出かけた時の鑑賞後のテータイムとお喋りがセットで映画の愉しみだった。

同じ本を読む事は時々あるが、読後感想会は直ぐには始まらない。

何故だか分からないが、お互いに心の中で読後感を反芻している様に思う。

そしてある時に突然何かのきっかけに依然読んだ本が話題になる事がある。

 

「本心」の映画化をきっかけに「ある男」を読み、映画を観た。

「本心」の映画は未だ観ていないが、小説で表現された言葉でしか解らない、胸の奥に訴えてくるものが本にあるのではないだろうか?

映画も楽しみたいと思う。