ある某新聞の投稿記事を紹介します。


私がまだ幼少の頃の話です。

それまで元気いっぱいだった母が突然、入院してしまいました。

私と妹は、母から鶴の折り物が病気に良く、早く治ると聞いていたので、さっそく母の内職の折り鶴の見本を開いて、あれこれと工夫して作ってみました。

あまりにも見本が小さく、また私たち二人が幼すぎて、なかなかうまく折れませんでしたが、二人で眠い目をこすりながら挑戦し続けました。

しかし、努力もむなしく出来上がったものは、お世辞にも鶴というには程遠いできばえでした。

それでも、母に何とか元気になってもらいたいと思い、二人で母の所へ見舞いに行き、恐る恐る母に差し出したのです…。

母は初め、それが何なのか、また何の意味があるのかも分からず、しばらく手に取って眺めていましたが、

そのうち顔に満面の笑みを浮かべ、「ありがとう!」と言ったのです。

そしてその時、その母の瞳にキラッと光るものがあったのを、二人は見逃しませんでした。

帰り道、満天の輝く星を仰ぎ見ながら、妹が言いました。
「兄ちゃん!母ちゃん、早く治るよねぇ!」


これが私たちの母の日の贈り物だったと、今も思い出します…。