ある方の手記です。


ある所に、忘れることが幸福につながることを物語る「奇跡の人」と呼ばれる老婦人がいました。


その老婦人は、それはそれはとてもいい笑顔をしていたのです。

しかも、口から出る言葉は、「私は本当に幸せ者だ。会う人、会う人、皆いい人ばかりで、ありがたい。神様、本当に感謝します」だけなのです。

そして、誰に会っても「ありがとうございます。あなたに出会ったことで幸せを頂きました」と言うのです。

なぜ、このような「奇跡の人」と言われるようになったのでしょうか?

この方はとても健康な人でしたが、ある日突然、深刻な脳の病気で倒れてしまったのです。生死の境をさ迷ったのですが、手術によって奇跡的に回復したのです。

しかし本当の奇跡は手術のあとに起こりました。

何と、この婦人の脳から、過去の人生のつらかったことだけが消えてしまったのです。

そして、嬉しかったことだけが記憶に残ったというのです。

それゆえ、この老婦人が思い出すのは、良いこと、ありがたいことしかなくなったというのです。

良いことしか思い出せない人になってしまったのです。
過去の怨みを忘れることは良いことなのです。

与えたこと、尽くしたことを記憶していると、場合によっては、それが怨みとなり、人生に不幸をもたらすようです。

もし、私たちが、与えた割りに不幸だと感じているなら、記憶力の良さのせいかも知れません。

算数や英語は記憶力が学業成績を向上させますが、尽くしたことの記憶は、幸福の成績を下げてしまうようです。


私たちは、尽くした後は忘れる努力をしなくてはなりません。

愛は…与えて忘れるものだから。