今シーズンの雪山を諦める訳ではないが、ヤマレコの唐松岳のレポートを見ると、劔は真っ白ではない。今年は雪が少ないのだろうか。そんな時に『にっぽん百低山』の「金冠山・静岡」を見てしまったものだから・・・
駿河湾に面した西伊豆の漁村、戸田。それを見下ろすようにそびえる金冠山。その山中には、不思議な観音が立つ。その名も「瞽女(ごぜ)観音」。江戸から明治にかけ、伊豆では盲目の女性旅芸人である瞽女が巡業を行っていた。ところがある冬、3人の瞽女が金冠山中で遭難してしまう。悲しんだ村人たちは彼女たちを弔い、山中に観音を立て祀ったという。瞽女は娯楽だけでなく、村に豊漁や幸せを運ぶ存在として親しまれていたのだ。
無性に行きたくなってしまう。
本州南海上を低気圧が発達しながら通過。その後前線も下りて来る。そんな状況だがてんくらもヤマテンもWindyも土曜だけは好天予想。予防線を張り始める。
「今週、土曜か日曜に山に行くかも・・・」
「えっ、この間行ったばかりじゃない」
「あれは2月」
「山になんか行っている場合ではない。作曲が終わらない」
「ならつつじヶ丘帰ればいいでしょ」
月末には下水管清掃も来るし、このタイミングを逃したら3月の山行は危うくなる。目立たないようにパッキング。ソフトシェルではなくレインウェア。23:30にシレッと床に就く。寝る前に妻にだけは「朝天気が良さそうなら行ってくる」と告げようと思ったのに眠ってしまった。03:30過ぎに目覚める。言い訳が面倒になり04:30にセットしたアラームを止めて寝るが、04:30過ぎにマロンが顔を掻いて来た。スマホで予報を再確認すると、やはり今日一択。せっかく彼が起こしてくれたのだ。顔も洗わず即出発。お蔭で部分入ればを忘れる。
深夜便は最後だけ。マイあさ!今日は何の日。「バカヤロー、解散!」と言った訳ではないのか。鳥たちが春を知るしくみ。脳天が薄くて脳が直接光を感じるとは驚き。上野桜祭は今日から始まるか。まだ全然咲いていないが。富士が見える。予報どおり晴れるのだろう。山北の辺り。先月歩いた大野山の牧場が気持ち良さそう。東名上下線のクロス地点。この真下を歩いたのだ。足柄SAで休憩。
ここからの富士も真っ白で綺麗。御殿場JCTでカーナビは新東名を指示。ここから先は良く分からずナビ任せ。長泉沼津IC、長泉ICを通り伊豆縦貫道と言う片側1車線の有料道路へ。箱根外輪山の斜面に広がる函南の別荘地が見えてくる。社会人1年目。記憶が曖昧だが読売ホールからそのまま研修に向かったような気もする。この別荘地の中に研修施設があった。生産性xxだか何かの。時間内に保険の問題を解いて回るオリエンテーションは私には坂がきつかった。函南塚本IC。狩野川に沿って遡ると次の有料道路。江間料金所。
「ETCXレーン」何だこりゃ。念のため「現金レーン」へ。200円。
「ETCとは違うのですか」
「ETCも今後使えるようになります」
どちらが進んだ技術なのか分からい。その先で驚いたことに希良さんが“登った城山“の岩壁が迫る。
海にに近いのかと思っていたがこんな内陸だったのか。大仁ICから伊豆中央道。修善寺ICで一般道へ。伊豆国際CCの中を縫う。所々ネットが破けている。私の腕前ではクルマを直撃してしまいそうだ。だるま高原レストハウス。駿河湾越しの美しい富士山。
これだけでも今日の山行の半分は目的達成感。真城峠にとうちゃこ。結構広くて止め方に迷う駐車スペースに1台目。
道路の反対側『にっぽん百低山』「金冠山・静岡」ではススキで覆われていた登山口が綺麗に刈られているが何の標識も無いのでやはり推奨されてはいないようだ。
類さんの言うとおり始めは緩やかで直ぐに中々の登り。まあノンビリ行きましょう。神峰山に雰囲気が似ていて落ち着く。
ボーッとトレースを辿っているとコース逸脱警告。え?分岐なんて有ったっけ?眼前に「瞽女倒山」の看板。
山頂は金冠山への稜線から少し外れていたのか。ヤマレコに通過地点に設定し忘れていた。地図も見ずに警告に従っていたら通過してしまうところだった。生瀬富士の反省が全く活きていないわ。周囲に瞽女さんに関わる痕跡は無さそう。生業とは言え麓からここまで昔の装具で荷物も背負って登るのは大変だったはず。山名が沁みます。


<瞽女倒山から金冠山へ>https://youtu.be/jl35YnbMOnc
ここからは中木、低木の森が続く。トンネルのように両側から迫るのはヒサカキだろうか。
木漏れ日が心地良い。視界は無いが静かだ。目印の青テープの間隔が結構長いし、どこも歩けてしまうので見落とすといつの間にかルートを大きく外れている。時折木立越しに海が見える。奥山を過ぎると後方には白い南アルプス。
そして馬酔木の散歩道。

誰にも会わないなぁ、と思っていると合流点の手前で夫婦のパーティーに会う。「・・・・さなぎ峠から」何とか言えた。「クルマ駐車できましたか?」市民の森にクルマを置いて来られたそう。こちら側から瞽女倒山まで行くのかしら。「初めて人に会いました」「金冠山には結構居ますよ」


草原に出た。左手に箱根山。右手に駿河湾と戸田の港。

ジブリに出てくる港町のよう。北風が冷たいが、ジジのように箒に乗って飛んでいるような気分。こんな景色見たことない。やはり来て良かった。最後の登りでほどなく山頂。
振り向けば草原の上に富士山。
富士山の奥に八ヶ岳。箱根の手前に沼津アルプス。丹沢山塊、愛鷹山。北アルプス南部も良く見える。


清水の三保の松原。その左手の緑は日本平だろうか。海原と山並みに囲まれて天気も最高。
<金冠山山頂>https://youtu.be/phLpwQZ_OQE
暫く景色に浸る。石の立派な山頂標識。
そう言えば『にっぽん百低山』に登場したお地蔵さまはどこに。ネットで調べてもはっきりせず。金冠山の西の稜線の広場とはどこだ?諦める。




着いた時は一人だったハイカー。その後ぽつりぽつりと到着。戸田峠からなら10分強。カラ身の観光客も混じる。ポットを出すのは憚られ行動食で休憩。出発はほぼ計画どおりだったのに山頂到着は40分も早い。CTは相当ゆったり設定されているのだろうが、もっとゆっくり歩くべきだったかな。
そろそろ出発しましょう。下りはカッとんでしまう。
気を付けてもどうしても青テープを逃す。一度尾根を間違えて戻る。これがトレースのはっきりしない低山の魅力でもある。途中赤黄青三色の賑やかテープ出現。どう言う意味なんや。瞽女倒山通過。吉田類と吉田洋って似てるな、いつまでも洋さんって魅力的な女性だな、などと取り留めもなく考えながら。真城峠が見えて来る。
朝よりずっと交通量が増えたようだ。ツーリングバイクが飛ばして来るので轢かれないよう注意して渡らねばならない。
クルマは1台増えている。運動量は多くないがいつものようにミルクと甘酒一気。
さてお地蔵さんを探索しよう。戸田峠にクルマを止めて達磨山に向かうハイキングコースを少し進むと金冠山の全容が見えるが、広場らしきものは無さそう。
だるま高原レストハウスへ移動してトイレ休憩。
富士山は相変わらず美しい。朝来た道を戻り途中の道の駅をセットしてゴルフ場の中を進んでいると、ふと大学時代のように西伊豆をドライブしたくなる。そう言えば戸田にも道の駅があるではないか。大分下ってしまったが引き返そう。戸田峠を過ぎてカーブの先の展望地に看板発見。3回目にして気づいた。朝も立ち寄り南アルプスの写真を撮ったのが瞽女観音の駐車場だった。
確かに金冠山の西の稜線上だ。戸田に下ろうと思い直さなかったら知らずに終わっていた。お導きだ。三体の観音像にお参り。ここから戸田までもかなり急で高度差がある。瞽女たちの山越えの苦労が偲ばれる。合掌。
くるら戸田に下ると駐車場から金冠山と達磨山が良く見える。
お土産にたちばなじゃむ、伊勢海老せんべい、熱海ジェラートキング静岡地元のいちごをゲット。戸田港の歴史展示。ロシアのプチャーチンのディアナ号が下田で嘉永大地震の津波に襲われ、戸田に修理に向かい駿河湾で沈没。ここで造った代替船のヘダ号で帰国。それほど優れた港なのだ。大学時代に夕飯を食ったのはこの戸田だったか土肥だったか。カーナビに自宅をセットすると、戸田峠へ戻れの指示だが北に少し走れば海岸線ルートになるだろう。出逢い岬から戸田港を望む。見るからに良港だ。沢山の船がのんびり休んでいるように見える。更に進む。どこまで行っても戻れの指示。少し不安になって来る。と、前方に“通行止め”!?あちゃー、そう言うこと?と一瞬愕然としたが、迂回路交互通行の誘導員さん。後ろのクルマは建設会社の方らしく、赤色灯の交換に来たらしい。「また、夕方持って来ますね」
井田の集落内をグルグル迂回して県道に戻る。やっとここで海岸経由のルート指示となる。大瀬崎の富士山ビュースポットも良い。砂嘴だそう。見下ろす砂浜でスキューバの講習中か。すっかり春です。とても3月の関東とは思えない光に包まれるシーン。海もいいなぁと思える(泳げたならば)。次第に東向きに進み木負観光みかん農園。駐車場に津波避難タワー。いざとなったらシエンタ君を見捨てて昇らなければならないのか。波打ち際から見る富士山も良いものだ。何種類か試食させていただき、寿太郎みかんジュースとスルガエレガント(マロンと同じミックスだそう)を買う。フローティングホテル・スカンジナビアってこの辺りに浮かんでいたのね。かつてここを通ったのは確かなようだ。夜のドライブで灯りの灯る船体は不思議な雰囲気を醸し出していた。いつか入って見たいと思ったが、誰とだろう?カーステからクリストファー・クロスが流れていたな。ワインディングロードで現れたり消えたりする富士山。そろそろ見納めか。ミニストップ沼津に一時着陸。ジューシーチキン(プレーン)とコカ・コーラで元気に。駐車場から三角おむすびのような淡島越しに最後の富士山。今日はありがとさんでした。振り向くと見覚えのある山稜。達磨山と金冠山がすぐそこに?!えーっ、こんだけ走ってこれしか移動していないのか。
でも西伊豆ドライブは楽し。三津シーパラダイスって聞いたことがあるな。沼津アルプスに別れを告げ、右折して狩野川放水路に沿って進む。100円玉を2枚用意して料金所へ。帰路も函南の斜面に記憶を辿りながら北上。新東名、御殿場JCT、東名・・・御殿場プレミアムアウトレットは賑わっているのか。足柄SAから見上げる金時山は急峻。妻と息子も良く登ったものだ。ドッグランは人工芝!さすが天下の東名高速。西側から見る大野山の草原もグッド。給油して帰宅。
「そんな恰好で図書館に行ったのか?」
「図書館はやめて山に行った」
「どこの山に行った?」
「伊豆」
「伊豆に行ったのにこんなに早く帰って来たのか?」
おいおい、お前さんがマロンのお守りしてると作曲が進まないと言うからすっ飛んで(西伊豆を存分にドライブしたけど)帰ってきたのだよ。
瞽女の悲話の地を訪れることができた。次は『にっぽんトレッキング100』で仲川希良さんが歩いた西伊豆海岸トレイルにチャレンジしたい。
2026年 3月14日(土)
04:30 起床
04:45 自宅発 8℃
04:50 ファミマホテルマイステイズ御茶ノ水店
06:15 足柄SIC 8℃
07:04 修善寺道路大仁料金所
07:20 だるま高原レストハウス 5℃
07:40 真城峠着 5℃
08:04 発 8℃
08:20 瞽女倒山
09:00 奥山 4℃
09:34 金冠山山頂着 3℃
09:56 発
10:55 真城峠着 10℃
戸田峠
だるま高原レストハウス
瞽女観音
12:05 くるら戸田
井田迂回
富士山ビュースポット・西浦江梨
13:00 木負観光みかん農園
13:25 ミニストップ 沼津内浦店
13:42 伊豆中央道江間料金所
14:20 足柄SIC 15℃
16:00 万世橋GS
16:19 自宅
361.1km