小説「集まれ仲間達」第七章 | 智恵子の部屋

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しばらくお休みします。

「集まれ仲間達」

第七章・おぼっちゃま

 6月と共に梅雨がやってきた。毎日のように空はどんよりとし、お庭の草花はいつもしめっている。
春花・桃・秋彦の3人は春花の家でテレビを見ている。
「あーあ、つまんなーい」
秋彦はあくびをしながら言った。
「どこか行こう」
「雨降るよ。おうちで遊ぼ」
桃は優しくなだめるように言ったが、素直に聞きいれる子供ではない。
「えーやだよ。カッバ着ればいいじゃん」
「秋彦!めちゃくちゃ言わないで!」
姉の春花はいつものように叱りつけた。
「じゃあ私がピアノ弾いてあげる」
「ホント?うわーい」
桃は幼稚園の時からレッスンを受けているので、とても上手い。秋彦はそれを聞くのが大好きだ。
「なにがいい?」
「えーとね。ミッキーマウスマーチ」
「はいはい」

 「次は僕が引く」
桃が終わると秋彦がピアノの前に座った。
「うんいいよ」
桃が変わり、秋彦はめちゃめちゃに弾き始めた。
「なんなのそれ?」
「おもちゃの歌。次はチューリップ」
歌いながら弾いている。
「では次は」
立ち上がり歌い出す。
「♪こぎつねコンコン山の中~山の中~」
その光景に桃は吹き出してしまった。しかし春花はあきれ顔。
「つきあってらんない」
「可愛い弟じゃん。いいなー。私も弟欲しい」
「疲れるだけよ。桃ちゃんいつでも遊びにこればいいよ」
「疲れるだけってことないでしょ?」
「エヘヘ~。ねぇ秋彦、ピアノもういいの?」
秋彦は聞こえないふりをして歌い続ける。
「♪ねこうんじゃった~、ねこうんじゃった~」
これには二人とも大笑い。まだ小さいので、上手く発音できないのだろう。それがかえって面白い。
「みんな。お昼よ」
母親が呼びにきた。
聞こえているのかいないのかまだ歌っている。
「♪おかーあさん、なーあに」


つづく....