脱出先の新しい我が家からバス通りを15分も歩くと、海岸に出る。

きれいに整備された砂浜の手前には芝生の公園が広がり、遊具もあり、目の前に開けた明るい海の光景といったら。。。最高である。


脱出してきた日、電車からこの景色を見ながら友人達にメールを打つうち、目頭が熱くなった。

まさに「逃げ切った」そんな気分になったからだ。


さて、先週の土曜日、私は納期に追われ、子供達を自宅でやりすごしながら仕事をしていた。夕方納品が終わったので、せっかくの休日だからせめて子供達と散歩に行こうと思い、この砂浜に来た。海水に足を浸して子供達とひとしきり遊んで、日が沈むのを見てから、帰路についたら、東の空にうろこのような雲が広がっているのが見えた。

「あ!地震雲だ!」

とっさに私が言うと、子供達も、

「ホントだ、地震が来るのかな」と心配顔。

このときはそのことはそのまま忘れてしまっていた。


翌日、子供の用事で街に出ようと電車に乗り、また車窓から海を眺めていた。するとちょうど水平線にあたる海面上にぶあつく黄色い層ができているのが見えた。

「あれ?こんな季節に黄砂かな」

「うん、、、これは地震の前触れかも。昨日も地震雲見たしね」


さらに。この日の夕方、月が低い位置でべったりと赤く上っていた。


「地震がくるかも」


子供達に、寝ている間に地震が来たら、家具の少ない私の部屋に逃げてくるように言い聞かせて、この日は休んだ。


そして翌朝5時ちょっとすぎ、グラグラっという揺れで目が覚めた。ゆれは長く、強くなる可能性もあると思い、子供達の部屋に行った。子供達は1人として目覚めていない。

やがてゆれは収まった。


震源地からは遠く離れていたので、特に危ないこともなく、その日の朝食で子供達に「地震あったよね、ママの言ったとおりでしょう」と言ってみたが、地震に気づかなかった子供達は信用してくれない。


でも、根拠がないと言われている「地震の前兆」ってほんとにあるのかも、と思った出来事だった。