助動詞の「過去形」といっても「過去」のことだけに使うわけではなく、むしろ、「今のこと」「これからのこと」をいう場合が多いのです。では、「過去形」でなくどんな「形」と考えればいいのでしょう?「過去」は今とは「隔たりのある」時ですが、時に限らず、何らかの「隔たり」を表すのが助動詞の「過去形」です。例えば will の「隔たり形」 wouldの「隔たり感」は以下の場合に現れます。

                      (助動詞 would の「隔たり」)
                                                                         
・依頼

 Will you come with us? 

(一緒に来てくれますか?) 

Would you come with us.?
(ご一緒においでいただけますか?) 

相手と「隔たり」を置いて丁寧。

 

・推量

 She will be at home.

(彼女はきっと家にいるよ。)

 She would be at home.

(彼女はたぶん家にいるだろうな。)

事実との「隔たり」を感じ確信度が will より弱い「今」の推量.

 
・過去

I think he will succeed.

(彼は成功すると思うよ。)

I thought he would succeed.
(彼は成功すると思ったよ。)

・時が「隔たった」「過去」
 

「隔たり形」の練習をしてみましょう。次の(      )の動詞に will , would どちらかを加えて下さい。
(a) I believe our team (     )( win ) the game.
(うちのチームが勝つと信じてる。
(b) She (        ) ( be ) a kind teacher.
(彼女はきっと親切な先生だよ。)
(c) She (        ) ( be ) a kind teacher.
(彼女はたぶん親切な先生じゃないかな。)
(d) I believed our team (          )( win ) the game.
(うちのチームが勝つと信じてた。)
(e) (        ) you join us?
(一緒にやってくれる?)
f. (        ) you join us?
(私どもにご一緒いただけますでしょうか?)
(解答)
(a) will (今から、これから)
(b) will (「きっと」の強い確信 )
(c) would (「たぶん~かな」の事実から隔たった確信度の低い推量)
(d) would (believed 過去形に会わせた時間の過去。時の隔たり)
(e) Will (親しい人への依頼。距離近い)
(f) Would (目上の人への依頼。相手との「隔たり」を表しさらに丁寧)

 以下の助動詞も「隔たり形」はまず「今」「これから」のことを表すことが多く、「過去」のことにも使われるのは同じです。

( can 「隔たり形」could )
a. He could be in the office. 「彼はひょっとすると職場にいるかも知れない。」
(確信度の弱い今の推量。事実からの「隔たり」)
b. I could give you the answer. 「よければお答えしますが。」
(できる( can )の丁寧な言い方。相手との「隔たり」)
c. Could I have another cup of tea?  「お茶をもう一杯いただけますか?」
(Can I have ...「いいですか」の丁寧な言い方。相手との「隔たり」)
d. He said he could play tennis well when young.「若いころはテニスが上手だったと言っていた。」( 主節said に合わせた過去。)

( may 「隔たり形」might )
a. That might be true.「それは本当かもしれない。」
(確信度の弱い今の推量。事実からの「隔たり」)

助動詞も、動詞の形は「気持ち」で決まります。