it の理解も英語の大切なポイントですが、itの「本質」は何なのでしょう?これを考えるのに、同じく「それ」を示す thatとの違いを考えましょう。

  The teacher talked about the economy of Taiwan and that of Japan.
 
  (その先生は台湾の経済と日本の経済について話した。)
  The teacher talked about the economy of Taiwan and I was interested in it.
  (その先生は台湾の経済について話したが、私はそれに興味を持った。)

 that は後ろから of Japanと言った前置詞のかたまりで説明されることがありますが、it は前からも後ろからも「~のit」と説明を加えられることは絶対にありません。どんなときも必ず単独で「それ」になります。他から説明や限定を加えられることがないと言うことは、" it " と聞けば、他に種類はない、それ一つしかない「そのこと」を表します。このことから、「そのこと」聞いている人を話題の中心に引きつける機能があるのがitです。この性質から、話そうとしている状況、話題などを表して、聞き手の意識を話題に向かわせるのに幅広く使われるます。

            itの根本定義
  
   他の語句で説明を加えられない、一つしかない「そのこと」

と言えます。聞き手の意識を向かわせるitを見ていきましょう。
(a)日常の話題系
(天候)
It is very hot in Summer.
(それ(天気)は夏はとても暑い。)
In winter it is dark at six o'clock.
(冬はそれ(外)は六時には暗くなる。)
(時間)
It's 4 o'clock in the morning.
(それ(時間)は朝の4時だ。)
(距離)
How far is it to Osaka?
(大阪までそれ(距離)はどれくらい遠い?)
(b)状況・事情系
It seems fine.
(それ(状況)はいいよ。)
It's all over with me.
(それ(状況)は私に関してはおしまいだ。)
Take it easy.
 easy 気楽な
(それ(状況)を気楽に考えろ)
I got it.
(それ(状況)は分かったよ。)
I made it.
(それ(その状況での目的)を果たしたぞ!=やったぞ!)
  
 と、聞き手の意識を「それ」と話題に集中させます。そして英語は「主語、目的語を省略しない言葉」でしたね。これらの例も、日本語ならば it が示す「それ」のSやOがなくても普通に通じますが、英語は省略できません。主語や目的語を置かなくてはいけない時に、便利に使える万能代名詞 it という見方もできます。