英語の「世界観」は主体Sと対象Oが常に存在するSVOパターンが基本ですが、これが日本語の「世界観」と典型的に違うのは「ある」の表し方ではと思います。
以下の英語と日本を比較して下さい。
a. Our family has a dog.(家には犬がいる。)
b. We had our grandchildren last weekend. (先週末孫が来た。)
c. Thank you for having me.
(私をお招きいただいてありがとうございます。)
d. She has a good memory. (彼女は記憶力がよい。)
e. Japan has a population of over 120 million.
(日本の人口は1億二千万を超える。)
f. I have a liking for music. (私は音楽が好きだ。)
g. I have no idea. (私にはわからない。)
h. I have a cold. (私は風邪をひいている。)
i. I had an accident. (私は事故にあった。)
J. I have some work to do.(私にはする仕事がある。)
k. We had breakfast. (我々は朝食をとった。)
I. I had a drink with Bill. (私はビルと酒を飲んだ。)
いずれも「持つ」で訳そうとすると不自然です。ではhaveの本質は何なのでしょう?それは
Sの範囲、意識の中にOがある、いる。
ということで、必ずしもSがOを「持っている、所有している」ことを表すわけではありません。これらの例文でも、「所有」の意味が含まれているのは a.d.だけです。
になります。例文をこのイメージで分析すると、
1. (Sの範囲内にOがある、いる)
a. Our family has a dog.
b. We had our grandchildren last weekend.
c. Thank you for having me.
d. She has a good memory.
e. Japan has a populatin of over 120 million.
J. I have some work to do.
2. (Sの意識、思考の中にOがある)
f. I have a liking for music.
g. I have no idea.
3.(SにOの経験がある。)
i. I had an accident.
K. We had breakfast.
I.I had a drink with Bill.
4.(SにOの状態がある。)
h. I have a cold.
となります。日本語では 「ある、いる」と表現することを英語ではSVOパターンのhaveを使って表すことも、英語の基本パターンがSVOであることからくる、日本語発想との大きな違いの一つです。基本中の基本動詞 have は、英語と日本語の「世界観」の違いを典型的に表すような語でもあります。