英語の例えば長文読解の参考書や問題集は、前回のブログで復習まできちんと終えた部分があれば、最後まで1冊終えてなくてもいいといいましたが、勉強のポイントは「手を着けた教材を最後までやり抜くこと。」と言われたことがあるかもしれません。

 これは「教科」によります。例えば歴史とか生物、数学などは、ある分野が欠落してたら、そこの問題が出ればお手上げですね。歴史の参考書最初からやって、入試頻出の最後の近現代史までいかなかったらそこの問題は解けません。こういう科目は、いわば「直線的に」進む科目です。

 でも、英語は、例えば100語くらいの文でも、be動詞が一つもない文はまずありえないしょうし、have, make, of, in といった基本動詞、前置詞が全然ない文はありえません。

 英語の基本の基本の材料は、Reading, Writing, Listening, Speakingどの分野の勉強をしようと必ず出てきます。

 また、ひと通り英語が「使える」レベルの語彙は約3,000語と言われますが、これはどんな教材、どんな単語集を使っても「出てくる」語彙です。

 数をこなすのが英語の勉強の主体となるのは、この3、000語程度が何とか使えるレベルに来てから、英検で言えば2級取得レベルからでしょう。

 理科や社会が「直線的」な科目とすれば、英語はちょうど富士山みたいに広いふもと(基本語彙・構文)から上に渦巻いている、「らせん状」の科目といえるでしょう。そしてこの「ふもと」の語彙はどんな形の英語の勉強でも必ず出てくるものです。だから、取り組んだ英語をしっかり復習して身につければ、一番よく使われる基本の語彙や構文は身についていきます。そしてその上に始めてその土台に、新たな、高度な語彙、表現も「使える知識」として積み重なっていきます。

 よく「リスニングができないんですが、どう対策を立てればいいですか?」と聞かれることがあります。もちろんリスニングの演習をするのは大事ですが、「音」をともなえばReadingも英作のための構文暗記もすべてListening対策になります。

 Listeningができるようになるというのは、実は発音される音を「残らず」聞けるようになることではありません。発音されなかったり、他の音と一緒になってしまったり、発音記号通りに発音されないことはしょっちゅうあります。英文に親しみ、色々なバターンや語を自分のものにしていくにつれて、無意識に「次はこうなる」と「予想」して聞いているのです。この「予想力」英語の基本をしっかり身につけて、かず多くの英語に触れることで身についていき、それがlisteningへとつながっていきます。

 ただ、これは最後までやらないと、というのが、主に高校の低学年で学ぶような項目別の文法テキストです。いくら「英語の授業は英語で」「文法にこだわっていては英語の発信が阻害される。」と言われても、私の勤務校を始め多くの学校で、文科省のカリキュラムからは大昔になくなっていても、中学でならったことがらも含めて英文法を体系的に整理して学ぶことが、有効以上に英語を学ぶには不可欠なことを、英語の先生は経験的に分かっているため、いつまでたっても「文法」の授業はなくなりません。

 

 英語の勉強で1冊全部やるべきなのはこの文法整理のように、文法や構文全体を体系的に整理した教材だけです。そして文法の根本は覚えるべき事が次から次へと山のようにでてくるものではありません。勤務校で使っているEvergreenという文法書も130頁程度で、右頁はすべて練習問題ですから、理解して覚えるのは6~70頁程度です。

 どの分野の教材でも、自分のやっている教材の一部でも、総合的な英語力の習得に必ずつながっています。「らせん」型の科目である英語の中高の学習は「量」より「深さ」です。