ある日突然どうでも良くなった。
男は、やるべき仕事は沢山あった。
どうでも良くなった。
男は、守らねばならない家族があった。
どうでも良くなった。
男は、死に対しての恐怖心を持っていたはずだった。
どうでも良くなった。
医師からは、うつ病であると診断された。
そう告知を受けたからと言っても、どうでも良かった。
兎に角どうでも良かった。
消えたかった。死んでしまいたかった。
会社を休職し、何にもしない生活が始まり、
無駄な時間を費やした。毎日寝て、時に食べ、また寝た。
生産性も無く、ただ食物を咀嚼嚥下し、
排泄をした。それで良かった。
そんな生活を3ヶ月程過ごしたある日、
実家に帰ると家族が待ってくれていた。
母が、姉が、犬達が。
こんな無駄な時間を過ごした堕落した人間を
笑顔で迎えてくれた。
尻尾が千切れんばかりに振って迎えてくれた。
情けない私を温かく迎え入れてくれた。
職場の人間が、飲みに連れていってくれた。
薬を服用しているのに。
飲めない同僚が無理をして飲んで騒いで楽しませてくれた。
情けない私が元気付くように気を遣ってくれた。
遠くに住んでいる友人が、心配してくれている。
何でも話してくれと言ってくれている。
私に愚痴も言わず、前向きな気持ちにしてくれる。
私は何をやっていたのだろうか。
病気である事に甘え、
自ら治すんだという気力も持ち合わせていなかった。
私自身の問題であるのに、
私が病気に立ち向かう事をしていなかった。
病気を治すのは、周りの人間ではなく、
私自身なのだ。
医師の力だけで病気は治らない。
患者本人の前向きな気持ちも不可欠である。
私には病院があり、家族や友人、大切な人がいる。
甘えを許してくれる人がいる。
私は今生きている。
これからも、しばらく生きるつもりだ。
私の事を考えてくれた人にお礼を言うため。
病気と向き合い治すため。
誰かの助けをするために。
病苦に打ち克つ勇気を持って。
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スピな世界もそう・・
あなたに元気になってほしいから
あるもの全てで応援は出来る。
しかし
病気を治すことはできない。
それは
あなた自身にしか出来ない。
病気を治したいという気持ち
元気になりたいという気持ち
笑顔になりたい・遊びたい・・
そして、勇気。
と、いう想いが一番の薬じゃないかなと思う。
cosmo