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縁起十二章
おかげさま人生
相田みつを
一、バカのおかげでお利口がひかる
利口ばかりじゃ世の中は成り立たぬ。
二、落ちてくれる人のおかげで合格できる
のぼせあがるとバチが当たる。
三、負けてくれる人のお陰で勝たせてもらう
どっちか負けなければケリがつかぬ。
勝つことばかりが人生じゃない。
四、脇役のおかげで主役が生きる
主役ばかりじゃ芝居はできぬ。
五、職場があるから働ける
職場のお陰でストもできる。
六、後輩のおかげで先輩になれる
威張ることはないんです。
七、子供のおかげで親になれる
子供がいなければいくつになってもただの年寄り。
八、嫁のおかげで姑になれる
あんまりありがたくないけど・・・
姑という字は 「女が古い」 て、書くんですねえ・・・
よくもまあ・・・
九、相手(縁)がなければケンカもできぬ
一人じゃ夫婦ゲンカもできません。
十、聞いてくれる人のおかげで愚痴もこぼせる
あなたの愚痴を聞いてくれる人は
あなたにとって観音さまです。
十一、下水のおかげで水も流せる
汚いもの、いやなものをみんな引き受けて
下水はいつも土の中。
十二、読んでくれる人のおかげで書かせていただく
このヘタな文章も。
世の中、役に立たぬものは一人もいない。
だから仏典にもあります。
「生きとし生けるもの、一切の存在は、みんな仏だ」 と。
【 縁起について 】
この世の物ごとは、すべていろいろな関係の中で
起こったり消えたりするということ。
単独に存在するものはひとつもないということ。
全体の関係の中で、お互いに関係し合って、
生かし、生かされているわけです。 それが縁起。
つまり持ちつ持たれつの関係が縁起です。